2015年12月18日金曜日

新・地底旅行 奥泉 光

    2003年

  •  ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』(1864)の続編的作品。
  •  16世紀の錬金術師アルネ・サクヌッセンムが残した暗号文書をもとに、ドイツ人科学者リデンブロック教授らがアイスランドの死火山から地底に潜り、地底海があって古代生物が生息する巨大な空洞に到達。その後イタリアの火山から地上に奇跡的に帰還する。

     それから約50年後の1909年(明治42年)の日本が舞台。
     帰還したリ教授は、全欧州的名声を獲得したものの、いろんな人が調べても地下世界の入口が見つからず、なんと、リ教授はペテン師呼わばりされたすえ、失意のうちに鬼籍に入ったという設定。

     日本を代表する理学者である稲峰博士は、留学中にリ教授の知己を得て地球空洞説の信奉者となるが、ちょうど一年前の夏、美貌の都美子嬢ととともに冨士山麓、青木ケ原の樹海にある洞穴探検に出かけたまま失踪する。

     博士らは、戦国の頃の修験者、角行が書いた『冨士人穴胎内記』という古文書を見つけ出し、それとリデンブロック教授の甥が書いた手記(『地底旅行』そのもの)にいくつもの類似点があることを発見。地球中心への旅に出かけたというのだ。

     そこで主人公たち、挿絵画家の野々村、まったく信用ならない友人の丙三郎、稲峰博士の一番弟子で都美子嬢を慕う鶏月、稲峰家の女中サトの4人が、博士の残した研究ノートをもとに、博士らの救出に向かう。丙三郎の魂胆は、やはり青木ヶ原の洞穴に隠されているという武田信玄の埋蔵金にあったのだが・・・・。

     以上がいきさつで、ここから先はネタばれになるので書きにくいのですが、「地底旅行」に忠実でありつつ、多くの新機軸が盛り込まれています。

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