2016年1月3日日曜日

TUNAMI(津波) 高嶋哲夫

集英社 2005年

 「M8」の続編で、「2004年の暮れに発生したスマトラ沖地震を契機として書かれたと思われる作品。
 1万5000余人が亡くなった平成大震災の6年後。主人公は、前作で東京直下型地震を予測した瀬戸口の後輩の黒田慎介。東海電力の大浜原発(御前崎西方にある浜岡原発がモデルと思われる)がある大浜市役所防災課の職員。地震・津波ハザードマップを作成し、また分散型防災情報ネットワークを草の根で開発している。

 2011年8月上旬、東海地方で三箇所の観測点でプレスリップが観測され、東海地震予知情報が発令され、召集された閣議で警戒宣言が出された。その2日後にM6.8が発生し、警戒宣言が解除された翌日、志摩半島沖でM7.8の地震が発生。竣工したばかりの超高層ビルオーシャンビューが倒壊した。しかし瀬戸口らはいずれも予測できず、無力感に襲われる。

 黒田は2つの地震ののちもかなりのエネルギーが残っていること、もし三つの地震が同時に起こると津波の共鳴する可能性があることに気付き、瀬戸口らに改良された「地球シミュレータ」(実効性能48.58 TFlops)によるシミュレーションを行うことを求める。その計算結果は・・・・。

黒田慎介:26歳、静岡県大浜市役所防災課職員。前年1月に名阪大大学院博士課程を中退。太平洋沿岸の市町村に呼び掛けて地震・津波ハザードマップを作成している。
瀬戸口誠冶:平成大震災ののち、静岡県牧之原(御前崎の北方)に設立された日本防災研究センター地震研究部の部長となっている。
河本亜紀子:松浦と結婚し、翼を産み、堂島の跡を継いで国会議員に当選。防災副大臣。<br />漆原尚人:平成大震災ののち、国会議員に返り咲き、副総理。
DIS:内閣府の中央防災会議が開発した地震防災情報システム
EES:人的被害状況、建物倒壊数、火災被害などを推計する地震被害早期評価システム

8月上旬、火11:30頃:御前崎沖20kmでM5の地震発生、気象庁が東海地震予知情報を発令、大浜原発を停止、閣議召集
 12:00前:閣議で警戒宣言を出すことが決定。総理官邸の危機管理センターに地震災害警戒本部が設置。
木13:27:伊豆半島沖20kmでM6.8の地震発生、警戒宣言解除。津波30cm
金10:07:志摩半島東沖20kmでM7.8の地震発生、オーシャンビュー(高さ276m)倒壊、谷島総理死亡
 11:50頃:黒田と瀬戸口、日本防災研究センターでシミュレーション
 12:50:東海地震・東南海地震・南海地震が同時発生するシミュレーション結果が出る。
 14:50:閣議の開催
 15:30:総理から重大発表
 15:47:志摩半島沖でM8.3の地震発生
 15:48:紀伊半島沖でM8.3の地震発生


=>高嶋 哲夫(ミルキーウエイ(おりひめの館))
=>高嶋哲夫オフィシャルページ

(横浜研開架)

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