2021年9月29日水曜日

南の海のフローティア/ 原幌平晴

 カクヨムで連載中:https://kakuyomu.jp/works/1177354054887695070

主人公、福島ツトムは12歳。小学校を卒業し、来月から中学生になる。

公明なAI・ロボット工学者だった父は5年前に他界し、大手の建設会社/ゼネコンの女性エンジニアである母、福島マコとの2人ぐらし。

そのマコの勤め先が4年前、赤道直下に人工島、フォローティアを建設した。マコは海外の別の大規模プロジェクトの現地リーダーに抜擢されて北アフリカに赴任することになり、ツトムは社宅を出て祖父、ながと駿河ナガト、60歳が住んでいるフローティアに移り住むことになった。

●フローティア

正式には「東京都特別区フローティア・ワン」。引っ越し先は第一埠頭五〇四。フォローティアは半径1キロの浮遊式人工島。最高気温は年中27℃前後。西向きの北赤道海流(北側)と東向きの赤道半流(南側)によって東西200キロの範囲を回遊している。

高さ1キロの中央タワー(住民から「花弁都市」と呼ばれている)の頂部は半径500m。中央タワーの中心部は高さ千mの吹き抜けになっていて、その内壁はタワー頂上ではラッパのように上に向かって広がっている。頂上から300m下までの花弁部分は住戸になっており、それより下は植物工場になっている。

花弁の中心にはオシベのようにコアタワーが建っていて、中央エレベータとそれを取り巻く回廊状のエレベータホールになっている。花弁都市の住戸の内側も回廊になっており、エレベータホールと各住戸側の回廊は各階とも3つの連絡橋で結ばれている。

花弁都市の周りの海浜域には円形の緑の大地。水田や畑の他に、マングローブなどの熱帯の森が広がり、その間を何本もの川が流れている。その先には人工的な遠浅の海岸で、サンゴ礁が徐々に育ちつつあると言う。遠浅の海は周りの海よりも1m高くなっていて船が出入りする箇所には閘門がある。

花弁都市には3万人のほか数千人が無届で暮らしてる。下の海浜区にも1万人のほか1万人の不法滞在者が暮らしてる。温暖化対策として海面上昇で難民化したミクロネシアやポリネシアの人々を多く受け入れたからだろう。ただし公用語は日本語となっている。

●潜水艇”のちるうす”

ナガトが経営するスルガ海洋研究所が所有する。全長20m、Mg合金製。操縦室(正面はガラス状セラミック)、居住室(ハンモックとキッチン)、潜水作業室(ロックアウトとトイレ)の三つの球体(直径4m弱)からなる。



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