2015年12月2日水曜日

四界物語:(1)金翅のファティオータ-/(2)異玉の騎士/(3)大陸の王 黒川裕子

C★NOVELS Fantasia(1)2010/07/(2)2010/11/(3)2011/3完結

 全3巻の第1巻目。四つの界からなるどこかの惑星。
第一界は「天」。
第二界は一つの大きな大陸と千の島々(ラ・ポール・アギ・ラセン・ネージ)と人工の浮き島でできた数多くの水上集落からなる。
第三界は魚やトゲウオが住む広大な海の世界。
第四界は海底の大地を深々とえぐり、もうひとつの地上といわれる大冥渠(ファーネスク)。7つの海の星(ゴスレイリル)が光を投げかけ、永遠なる水の帝国(エル・ファリターシュ)が存在する。
第四界まで続いているといわれている大海溝の斜面にはトゲウオの天敵である大海蛇(フォンダ)の巣がある。
 トゲウオとは鮮紅色の巨大な生き物で、背中には鋭いトゲをはやしている。鋭い爪の生えた肢が波を踏むたび虹色に凍る水道が作られる。人間が騎乗する波頭馬(ハトゥーバ)も水道を作りながら海上を駆けることができる。
 かつて双子神を起源とするアリシャーランとサクォーリアンという3つの種族がともに第四界に暮らしていた。うちアリシャーランが第二界に移り住み、やがて第四界に残ったサクォーリアンとの間で1000年以上にわたり戦いを続け、1000年前にサクォーリアン側が敗北した。その際に、四界を自由に行き来できたといわれる竜(デネーフ)も姿を消した。
 以上がこの世界の設定。物語は主人公のシルッカが7歳のとき。シルッカが父母と暮らす水上集落シラクサがトゲウオの大群に襲われ、それを撃退する帝国海軍が放つ武器によって、シラクサも全滅した。瀕死で沈んでいくシルッカの前に金色の鱗をもつ不思議なトゲウオが現れ、「生キタいカ」と尋ねる。「生きたい」と答えたシルッカに、そのトゲウオは「デハ、イツノ日にカ、ワが騎士ニナルガヨイ」と答える。
 それから10年後、シルッカは帝国海軍の戦艦に準騎士、つまり見習い騎士として最初の航海に乗り組む・・・。

 ファンタジーだが、海ブドウ、海キキョウ、海水で育つ葉ニンニク、セキギョ、銀鯛、陸トカゲ、モロモウオ、水駝鳥などの生き物の名前が登場し、料理や人々の生活がよく書き込まれていて、この世界に引き込まれてしまう。

登場人物
ルドゥン帝国
・オハリオ二世:皇帝
・ザイロ将軍:皇帝の異母弟
・ラルファン:正上騎士。妻マンサを失う。
・エメロン:王騎士
・ベラスティ:王騎士
・ジグルト:王騎士。最長老
・パスィスタ:謎の女

西海連合軍
・シルッカ:主人公。リンゼイのオファン、竜騎士
・リンゼイ・ヴォー:オハリオ二世の息子。元ルドゥン帝国の皇子
・ネルヴァーリ:海賊船の首領
・レイフィン:女海賊
・ナユーム・ネシカ:従軍承認(自称悪徳商人)
・ネルシーリン・ジーリット:ネルヴァーリの双子の兄
・ジンソウ:カラフ一族の生き残り
・ワルンスラ:元ルドゥン帝国の王騎士。

ウィゴネール王国
・フェルイルム・パシバル新王
・イルウェ・筆頭官
・大后ワスリン:前王、新王の祖母。純潔のサクォーリアン

永遠なる水の帝国(エル・ファリターシュ)
・スリンシル:皇女
・セネクルカ:元竜騎士

(横浜研開架)

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