2015年12月2日水曜日

エルサレムの秘宝を発見せよ!/Corsair クライブ・カッスラー&ジャック・ダブラル

ソフトバンク文庫、2010.9.25

オンボロ貨物船にカモフラージュした超ハイテク船「オレゴン号」とその乗組員が活躍するシリーズの第4弾。

 コーランでは自殺を禁ずる記述がある一方、ジハード(聖戦)の殉教者は天国で72人の処女と交われると書かれているそうで、その教えが自爆テロを正当化し、多くの若者を自爆テロに向かわせたといわれている。この「処女」は「ブドウ」の誤訳という説もあるようで、もしそうだとしたらとんでもない無駄死にということになる。

 で、本作品に戻ると、19世紀初頭に活躍したイスラム教徒集団の指導者でキリスト教徒を激しく憎む海賊のスレイマン・アルジャーマニーと同じ名をかたるテロリスト指導者が敵側ボス。

 実は、19世紀のアルジャーマニー率いる私掠船〈サクル〉と米海軍の軍艦〈サイレン〉との海戦において、〈サイレン〉の副長ラファイエットがアルジャーマニーとともに落水し、瀕死のアルジャーマニーを助ける。その後2人が和解し、アルジャーマニーは晩年にキリスト教とイスラム教が平和に共存できるという著述を残したという書簡が発見された。その著述は、現在のチュニジアの砂漠にあるアルジャーマニーの隠し砦に隠されているという。

 その情報に基づき、米国の考古学チームが古代ローマ帝国の遺跡を発掘するという表向きの口実のもと、密かに隠し砦の探索を行っていたところ、米国女性国務長官フィオーナ・カタムラが乗る政府専用機が消息を絶つ。フィオーナはリビアとの平和条約締結のためにリビアの首都トリポリに向かっているところだった。

 考古学チームは損傷した政府専用機がリビア領内に向けて降下中のところを目撃し、救援に向かったが武装勢力に拉致される・・・。

 それで、本作品の海洋SF的なところというと、リビアの海岸に建設された潮力発電所が変わっていて、赤道の砂漠地帯であることを利用し、防波堤で区切られた広大な人工湖の海水が自然に蒸発して干上がり、次の満潮時に海水が流れ込むことを利用して発電するという。ちょっとそんなことが成り立つのか疑問ですが・・・。

 あと、対艦ミサイルを備えるリビアのフリゲート艦〈スルト〉に囚われている国務長官を救出するため、オレゴン号が近距離で一騎打ちする。

(部内留保)

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