2015年12月2日水曜日

気象精霊記8 空飛ぶ黄色い風邪工場 清水文化

富士見ファンタジア文庫 2005年

異常気象、気候変動、地震・火山噴火、さらには宇宙起源のといった清水文化さんは気象、地震・火山だけでなく極限微生物にも詳しく、一度お会いしたいと常々思っている方が、その気象精霊記シリーズのどうやら完結編。その後はヒロインの就業時代のシリーズ「気象精霊ぷらくてぃか」となっています。

地上の自然現象と生態系は精霊界の精霊たちによって密かに管理されている。
「気象室」は自然災害から生態系を保護する役割。「気候変動誘発局」は生態系の多様性を確保するために災害を引き起こす。「運命室」は地上の生き物の運命を管理する。このほか『はぐれ堕天使連盟』や過激環境保護団体『大自然の会』が「気候変動誘発局」と結託して人類滅亡を画策する。

 冬季の異常渇水(夏のフェーン現象の冬版のボラ現象)、ゲリラ雪、爆風雪崩、異常乾燥によるインフルエンザの流行、「黴雲」(ばいうん)と新型インフルエンザがテーマ。
ステフィアが新型感染症〈ミネシア〉(「差し迫った脅威」の意味)の感染拡大をもくろむ。

「黴雲」は著者の創作らしい。カビ、バクテリア、ウィルスが共生圏を作っている雲。アンモニア細菌がアンモニアを合成する際の熱と、放出されたアンモニアによる冷却の釣り合いによって保たれている。アンモニアによって空気中の水蒸気が冷やされて細かな水滴になる。最近が作るアンモニアで雲が大きくなって、その雲に漂着した細菌が適度な湿り気を得て繁殖する。雲の中で水滴同士がぶつかって電気が起こり、その電気を集めた雷の高エネルギーで細菌の遺伝子を強引に組み換える。
 未知のバクテリオファージ(トゥルバ)(「気掛かりな存在」の意味)も登場。

(横浜研開架)

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