2015年12月2日水曜日

夢見る水の王国 寮美千子

角川書店 2009年

 房総の海辺の小さな町、天羽には、あるはずのない島影が見えるという古い言い伝えがあった。その古い別荘地に初老の男が黒猫と暮らす。ある初夏の日、何年も会っていなかった娘が赤ん坊マミコを連れてきて、年明けにマミコを残して別荘を去る。
 大きな台風が過ぎ去ったある日、11歳のマミコに祖父との永遠の別れが訪れる。マミコは悪魔の子マコと夢見る子ミコに分裂。海に屹立する外輪山に囲まれた島が現れ、マコは黒豹と、ミコは角をなくした一角獣とともに、「世界の果て」を探す旅に出る。島の外輪山には雲母鉱山の坑道が迷路のように交錯する。外輪山の内側には中央低地があり、そこには環状列石のある遺跡の丘、螺旋の町、定期的に湖となる広い砂漠、あやかしが人を惑わす「鵺の森」、鉄砲水が襲う地下水路などを経て、ついに「月の神殿」にたどり着く・・・。

(横浜研開架)

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