2016年1月4日月曜日

日本沈没 小松左京

カッパ・ノベルズ(上下巻)、1973年、星雲賞受賞、東宝

1万mバチスカーフ<わだつみ>登場。

リニアモーターカー超特急、超音速ジェット機SSTの時代。
 ガソリンを浮力材とするバチスカーフ型深海潜水艇<わだつみ号>(母船:気象庁観測船「第三大東丸」1800トン)、仏深海潜水艇<ケルマディック>が登場。<わだつみ号>が小笠原海溝の水深7000~8000mの間に、3ノットの底層流、密度飛躍層による内部定常波、多量の重元素イオンを含む深部散乱層(DSL)、乱泥流(タービダイト)の発生を目撃する。次世代バチスカーフとしてリチウム!を浮力材とするもの(フランス・ベルギー共同開発のリチウム・マリン)を想定していたのがおもしろい。

 田所博士の以下の言葉が感動的。
「(略)わしらには地球がある。大洋と大気の中からもろもろの生物を何十億年にわたって産み出し、ついには人類を産み出し、自分の産み出しはぐくんだそいつらに、地表をめちゃくちゃにされながら、なおそれ自体の運命、それ自体の歴史をきざんでいく。この大きな-しかし宇宙の中の砂粒より小さな-星がある。大陸をつくり、山をつくり、海をたたえ、大気をまとい・・・氷をいだき、それ自体の中に、まだまだ人間の知らない秘密をたたえた、この地球がある。
(中略)
-このあったかい、しめった、凸凹の星を・・・あんなに冷たい真空の、放射線と虚無の暗黒に満ちた宇宙から、しめっぽい大気でやさしくその肌をまもり、その肌のぬくみで、こういった大地や、緑の木々や、虫けらを長い間育ててきた、この何か知らんやさしげな星を・・・太陽系の中で、ただ一つ、子供をはらむことのできたこの星を・・・地球はむごたらしいところがあるかもしれん。だが、そいつにさからうことは、あまり意味がない。(略)」

・TV版DVD:本部に留保
日本沈没 TELEVISION SERIES プレミアム・ハザードBOX(1974-75放映、2006.7DVD発売、出演: 小林桂樹, 村野武範、)

(横浜研開架)

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