2016年1月2日土曜日

過ぎ去りし日々の光 アーサー C. クラーク&スティーヴン・バクスター

ハヤカワ文庫SF 2000年

 2010年、老朽スペースシャトルとの衝突後に宇宙ステーションが放棄。同じ年に連合王国からスコットランドが分離独立。2019年にイングランドは米国の52番目の州となる。2033年、さしわたし400kmもの<<にがよもぎ>>(ワームウッド、ロシア語でチェルノブイリ)が天王星の向こうで発見。50年後の2534年には地球に衝突し、現存する科学技術では回避できず地球が壊滅することが明かとなる。

 この時代は温暖化の進行によってシベリアの永久凍土から数億トンものメタンが放出されつつあり、大陸棚周辺のメタンハイドレート地層は不安定化する。メキシコ湾流の停止によって北ヨーロッパは寒冷化し、西南極大陸氷床が崩落しようとしている。

 2035年、アワワールド社はマイクロ・ワームホールで任意の場所の映像を得る技術、ワームカムを発明した。これによって人々のプライバシーが失われ、南極氷床下の地底湖を汚染させることなく探査できるようになる。

 真空圧縮ワームホール技術によって、4.3光年離れたケンタウロス座プロキシマの惑星探査が可能となる。さらに過去の映像も得られるようになり、犯罪捜査に使われるようになり、さらにはキリストの秘密などが解き明かされる。これによって社会は変革していく。

 過去への旅は人類の祖先、白亜紀末期(6500万年前)の小天体衝突、恐竜の時代、2.5億年前の大絶滅、超大陸の分裂とその後の全球凍結の繰り返し、複雑な多細胞生物が小天体衝突や全球凍結で絶滅を繰り返す地球史が明かとなる。熱水噴出孔周りの生態系、さらには光も酸素も有機物にも依存しない地殻内超好熱性微生物がそれらの絶滅を乗り越えていく。最後から11ページ前に驚くべきことが明らかに。

(横浜研開架)

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