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2016年5月5日木曜日

オイル・タンカー炎上す ブライアン・キャリスン

1986年 ハヤカワNV

 作者は『無頼船長トラップ』シリーズで有名な海洋冒険モノのオーソリティ。
 イギリスの港に停泊中のタンカーが、嵐で構造崩壊し爆発するまでを克明に描いた異色のフィクションです(実際にあったタンカー事故を調査して書き上げたとか)。

 登場人物が織り成すドラマは全くなく,ただひたすらにタンカーの構造を解説し、それが経年劣化から崩壊して行く過程を克明に描写しています。船に関する物理的なドラマ以外なにもありませんが、『渇きの海』などと共通するハードSF風味のインパクトにグイグイ引っ張られると思います。

 高校時代に読んだのですが、創作においても役に立ってくれています(by エスねこさん)

原潜ポチョムキン撃沈 マーク・ジョーゼフ

1986年 新潮文庫

 1968年,米スキップ・ジャック級<バラクーダ号>(SSN593)と、ロシアのアルファ級<ポチョムキン号>との戦い。アルファ級は、本作品中ではチタン合金製耐圧殻による1200mの潜航能力と50ノットの水中速力、ビクター級など他の潜水艦の偽装音を出せる音響再生能力及び静穏航行能力を持つ設定になっている。これに対抗する<バラクーダ号>は新たに下方探知システムを装備する。

 <バラクーダ号>の天才的ソーナーマン、ソレンセン一等兵曹のキャラクターが魅力的で、1回のみの登場が大変惜しまれる。
 同じスキップ・ジャック級<スコーピオン>号が沈没した1968年を舞台としている。SFなのか、そうでないのか微妙な作品。

赤い原潜を捕捉せよ ハワード・レナルズ

二見文庫1986年

 ソ連の音響電子工学の第一人者ビョートル・アサーノフは画期的なソノブイ、拡大アクイティブ・ソナーEASの考案者。従来,アクティブ・ソナーが最高能力を発揮できるのが40km以内だが、超低周波音波(インフラ・サウンド、VLF)を使うことで100平方マイルのどんな深度にあるものも探知可能となる。そのアサーノフが英国に亡命する。

 英国内で開発に協力するのは英国防省の女性電子工学専門家フランシス・ウィクリフ博士37才。フランシスは8年前に夫を亡くした未亡人。

 アサーノフ52才は聴覚障害の専門医から音響の専門家になった。ピアノがうまい。11年前に妻を亡くす。一人息子ドミートリーを亡くし、その息子が地下出版グル-プに関わっていたことから、同グループと米国と英国の手引きにより亡命することになる。

 地下出版グループにはイワニツィン艦長の妻でソ連最高会議連邦会議の代議員の娘でもあるターニャ・メルニコワも関わっている。

2016年5月2日月曜日

2000年から3000年まで-31世紀からふり返る未来の歴史 B. ステイブルフォード D. ラングフォード

1986年 パアーソナルメディア

 21世紀,温室効果による海面上昇で世界中が大きな被害。シベリアは肥沃に。日本は富士山の噴火等も重なって壊滅的被害。

 22世紀,海面が2000年に比べて16m上昇したところで安定し、下がり始める。食料と燃料油のためのケルプ農場が世界中の沿岸に広がる。遺伝子工学処理したプランクトンを海域に展開。赤潮を克服。

 24世紀末までに深海に増殖した海草が世界中の気候を穏やかにする。

 25世紀後半,鰓,ケーソン病保護機能、特別な皮膚、水かき、水中の匂いの感覚機能、反響定位法などを備えた両性人間メールピープルが誕生。26世紀から繁殖。太平洋に首都ネプチューンを築く。バブルドームが発達。27世紀初めには海をメールピープルの国家とするよう要求。

2016年4月30日土曜日

南極大氷原北上す リチャード・モラン

扶桑社ミステリー

 1995年、マントルからのホット・プリュームが南極に上昇し、ロス氷原が漂流を始め、それによって南極西氷床が崩壊して海面が6m上昇する危機が迫る・・・。

 <イングリッシュ・オウン>というレーザー装備衛星を南極ロス海上空に静止させるというドンデモない設定がある。極端な楕円軌道を取ることによって、高緯度上空に実質的に長時間留まる衛星があり、それとの誤解かもしれない。

2016年1月1日金曜日

ヘリック最後の冒険 田中光二

光文社文庫 1986年

 スペイサス(宇宙)を往来する能力を持つオリュポスの一族がアルゴス(地球)で自らを神々と称し人間を支配していた時代。オリュポスのゼウスが人間の王国ルキオンのルキア姫に産ませたヘリックを主人公とするヒロイック・ファンタジー全4巻の最終巻。

 北極に開いている巨大な穴オケロンに入り、えねるぎぃの擾乱である"大障壁"を通って地底世界オケアノス(冥土)に向かう。そこは薄暮めいた光がみなぎり、オリュピア人の中の権力闘争に敗れたダルダロイ(地底に棲む者)人、またの名をクロトン(クロノスを飼う者)が封じ込められていた。首都ハデスの宮殿では女王ペルセポネがオケアノスを統治している。海の神ディゴンを信仰している。アルゴスの先住民族でオリュポスに駆逐された一つ目の巨人クロノスが生き残っている。

 地底海ヌメアには小山ほどの大きさ、八本の足を持つクラーゲンがいる。ヌメアの果ての孤島にあるカリストの城にはオリュポスとダルダロイに掛けられた呪いが封印されていた・・・。

2015年12月21日月曜日

ラドラダの秘宝を探せ クライブ・カッスラー

新潮文庫 1986年

1989年10月。ジェシー・ラバロンがヒロイン。

(部内留保)

南極点への到達に賭ける アムンセンとスコット 本多勝一

教育社 1986年

 ノルウェーのアムンセン隊と英国のスコット隊の南極点到達競争を描く。アムンセン隊が一番乗りに成功し、スコット隊は後塵を拝したうえに帰途で全員死亡。犬ゾリを食料としてまで活用したアムンセン隊。一方、犬、馬、雪上車を併用しいずれも役に立たず人間がソリを引いたスコット隊。雪メガネ工夫コンテストや気温当てコンテストで隊員の意欲を引き出したアムンセン隊と、軍隊組織としての限界を持っていたスコット隊。

2015年12月18日金曜日

タフの方舟 1禍つ星/タフの方舟 2天の果実 ジョージ・R・R・マーティン

    ハヤカワ文庫SF, 2005/4/30-5/31 1986年

 ポンコツ宇宙船<良い品をお安くお分けする豊饒の角>号の船長であるハヴィランド・タフは、ボロい商売には縁のない人畜無害、猫好き、菜食主義で美食家の大男。どういうわけか戦略ゲームにはやたらと強いくせに、この半年ほどは仕事にあぶれて立ち往生している。

 この主人公が、あるいきさつ(それ自身、『禍つ星』でかなり読み応えがあるが省略)の末に千年前に建造された全長30kmの<方舟>号を手に入れた。これは古代の地球連邦帝国環境工学兵団が持っていた生物戦争用の胚種船であり、その巨大な船内にはあらゆる生物の細胞ライブラリがあり、時間歪曲空間の中でいかなる凶悪な生物をも自由に創り出すことができる。
 この船を巧妙な手段で手に入れたタフは、商人を廃業し、環境エンジニアとしての商売を始める。いろんな困難な事情を持った惑星を訪問し、そこに適した生物を胚種して問題を解決し、報酬を売るという商売である。

 あるいきさつに戻ると、強欲な5人がタフの船を雇い、ついに伝説の<方舟>号を発見するが、防御システムが作動し、致死性の病原菌が<方舟>号の船内に散布され、さらに"襟巻きドラキュラ"、"地獄の仔猫"、"歩く蜘蛛の巣"、"土ころび"、"ティラノザウルス・レックス"といった恐ろしい生物兵器が目覚める・・・。

 そこからどうやってタフが<方舟>号を手に入れることになるかは省略して、その後、最初に訪れた惑星ス=ウスラム(人口390億人)。<方舟>号の修理・改造のためだ。タフはポートマスターで<かあさん蜘蛛>とも<鋼鉄の後家蜘蛛>とも呼ばれている女性トリー・ミューンと取引をする。
 この星は生命礼賛の宗教のもと高い出生率の一方、何世紀も前に他の星系に進出することを封じられ、科学技術の振興によって乗り越えてきた。しかしその努力も限界に達し、大飢饉まであと27標準年であることが判明。しかも産児制限は不可能という。
 タフは<方舟>号の修理・改造費の長期ローンと引き換えに、この問題の解決を引き受けるが・・・。

 こういうような感じでいくつかエピソードがあるんですが、そのうちの一つに海洋モンスターが登場します。小さな大陸ニュー・アトランティス(百万人)と1万7千の小さな島のある多島海からなる惑星ナモール(人口4百万人)。入植してから100年の歴史を持つこの惑星で、6年前から凶暴なモンスターが島々を襲い始める。
 最初に出現したのは、歯のある吸盤がある20本の触手(その一つ一つの先端に目がある)を持つクラゲとタコが一緒になったような巨大海洋モンスター<ナモールの艨艟>。そのうちに、体内発電で水を電気分解し、水素で浮遊する<風船爆弾>が空を制圧し、さらには、硬い甲羅を持つ<多脚戦車>が陸上までも襲う。タフはは入植して100標準年にもなるこの星で6標準年足らずでこれらまったく未知の生物が出現したことに疑問を持つ・・・。

詳細
・プロローグ
 海のない惑星フロ=ブラナには<禍(まが)つ星>が天空で輝く。滑空生物の"飛蜴"(ひえき)、ごつい四肢を持つ"闇の狩人"が原住生物。
・『禍つ星』
 ヴィルカキス星の"襟巻きドラキュラ"、アバトワール星の"地獄の仔猫"、ジェイドンII星の"歩く蜘蛛の巣"、命名記録のない星の"土ころび"、地球絶滅種の"ティラノザウルス・レックス"が登場する。
・『パンと魚』
 100%食べられるハイブリッド穀物"万頃穀(ばんけいこく)"、ハイパーワーム、共生体、プランクトン<ネプチューンのショール>、寄生性食用蔓植物、雪小麦、トンネル芋。
(従来種:ナノ小麦、ネオグラス、マルチ米)
・『守護者』
 シースター島(4万人)、リトル・アクエリアス島(1万2千人)、ダンシング・ソイスターズ島(同規模)、サンライズ諸島、ブロークン・ハンド諸島、ボリーン島、キャッスル・ドーン島、インディゴ・ビーチ島、ロバドゥーン島
 壺牡蠣、カメレオン貝、お辞儀フレディ、軍刀魚、<ナモールの軍船>
 オールド・ポセイドン星の血吸いウツボ、ネッシー、斬鉄藻、アクエリアス星の黒餮魚、赤餮魚、毛長パピー、<死美人>、ジェイミソンズ・ワールド星の潮干竜、軍艦蟻、虹色蛟、オールドアース星の頬白鮫、鬼梭魚(バラクーダ)、大王烏賊、鯱、リッサドール星の灰色クラーケン、アンス星の青色クラーケン、ノーボーン星の大海母、ダロニア星の鞭蜘蛛、キャサデイ星の<血染め網>、ダーム・テュリアン星の要塞鯤、ガリバー星の擬鯨、、フルーンII星のグリンダ、アヴァロン星の瘤鮫、アナンダ星の寄生生物シースニ、デルドレー星の群泳蜂、鞭尾マンタ、薄刃茜、嘲り鳥、_鵬、<啜り泣き囁く浮流草>、針万本
・『タフ再臨』
 『パンと魚』の5標準年後。大飢饉まであと18年。
・『魔獣売ります』
・『わが名はモーゼ』
・『天の果実』
 『タフ再臨』の5標準年後。トリー・ミューンは総相となっている。大飢饉まであと12年。
・聖糧(マナ)

(横浜研開架)

2015年12月15日火曜日

2001夜物語 星野之宣

1984-1986

・第3夜「豊饒の海」:パレットの弟リーは、月の「豊かの海」で20億年以上前に衝突した巨大隕石の発掘作業を行っていた。そのリーが行方不明となり、パレットは発掘場所である巨大な空洞を降りていく。そこで知った弟の発見したものとは・・・。

・第10夜「明日を越える旅」PART II「地球からの贈り物」:冥王星軌道の向こうに魔王星の反物質が発見されて30年後、くじら座タウ星の第2惑星オズマに到着したロビンソン財団は、岩盤を粉砕し海水を散布し強化微生物を増殖させる。300年後に到着するはずの者たちへの贈り物として・・・。

・第12夜「見知らぬ者たちの船」:惑星プリラII。惑星直径の1/3を占める大クレーター「サイクロプス」が唯一の海を形成している。大気には酸素がなく、海水は塩酸に近い。細菌さえ発見されていない惑星・・・。地球それ自体が巨大な超生命とする「ガイア説」が登場する。

・第13夜「共生惑星」:22世紀、大進出から27年。みずへび座ベータ星第5惑星。風に乗って浮遊する風船生物は、菌類と共生することで酸素と水素を得ている。エウロパ大陸全域をはびこっている菌類や有害生物を焼き尽くす作戦が提案される。コロニーの実験室が菌類で汚染され、それに感染した研究者たち・・・。リン・マーグリスの「共生説」をテーマとした作品。

・第19夜「緑の星のオデッセイ」:レーザーで推進される高速体が発見される。レーザーの発信源は人類未踏のオリオン座赤色巨星ペテルギウス第2惑星。探査に向かった宇宙船オリオン号は膨大なエネルギーのレーザーが発射された衝撃で不時着する。惑星上をレーザー発射地点まで向かう隊員たち。食肉植物、集光した光を地下茎で地下に送る植物、ナトリウムと水の反応を利用して動物を殺す植物。ついに見たレーザーの正体とは・・・。

(横浜研開架)

2015年12月9日水曜日

フェニックス作戦発令 福島正実

岩崎書店、SFロマン文庫 (20) 1986年

海洋パトロール隊員が主人公。ボツリヌス菌なみの毒素をまきちらす謎の猛毒プランクトンが大発生・・・。
http://www.geocities.jp/mikeshimizu2004/sfselect100/sf100index.html#omoide