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2016年5月1日日曜日

海のオーロラ 日本テレビ

2001, 日本テレビ自社制作のフル3D-CG、声優:いしだ壱成、奥菜恵ほか。

 地球温暖化による海面上昇で世界の沿岸に被害が生じている21世紀初頭,南鳥島沖の水深4000mを越える海底にある海底掘削基地“ガネシア”で地下6500mのマントルまでの掘削が行われている。6億年前の古代バクテリアがマントルで原油を生成しているという学説を立証しようというもの。

 ところが,この計画の提唱者である王春露(ワン・チュンル)は,この古代バクテリア『オーロラ』が地球環境に重大な脅威となる恐れがあると計画を中止させようとしたが、除名されてしまい、ついに地殻が掘りぬかれ、『オーロラ』が流出してしまう。

 『オーロラ』は金属を腐食させ、また、酸素に反応して爆発する性質があった。洋上支援船<はるしま>は爆発沈没し、海底掘削基地も崩壊の危機に・・・。
 深海域に6億年前の地層というのは存在しない点に無理があるが、地殻内に眠る古代微生物をテーマにした作品は、「深海の悪魔」に次ぐもの。

=>公式サイト
http://www.generalworks.com/databank/movie/title4/umiau.html

2016年2月28日日曜日

ノーチラス ロドニー・マクドナルド監督

2000年 ●実写 日本劇場未公開、ビデオ

このノーチラスは、ジュール・ベルヌとは無関係。

海洋掘削基地<プロメテウス>から、なんとマントルを超えて外核まで掘削してエネルギー資源を採取するプロジェクトがまさに到達直前の段階に。実はこれによって大規模な地殻変動を引き起こし、地球環境を破壊することに。

100年後の世界から タイムマシン<ノーチラス>が送りこまれ、このプロジェクトを阻止しようとするが・・・。
タイムマシンを潜水艦にするのは冷却のためとされているが、まあ,ズバリB級作品ですね。

http://www.generalworks.com/databank/movie/title3/nauti.html

2016年1月25日月曜日

AO6-青の6号(OVA版) 小澤さとる 前田真宏

●アニメ 1997 「青の6号 Graphical Would」(2000,角川書店,設定資料集)

・製作:バンダイビジュアル渡辺 繁、東芝E&M宍戸史紀、GONZO村濱章司、企画:バンダイビジュアル川城和美、東芝E&M原澤和美、脚本:山口 宏、監督:前田真宏、全4巻
・設定資料集:2000「青の6号 Graphical Would」角川書店)
http://www.gonzo.co.jp/anime_ao6/

小澤さとる「青の6号」だけでなく、星野之宣「ブルーシティー」、安部公房「第四間氷期」へのオマージュも感じさせる作品。
こちらは、遺伝子工学の天才、ゾーンダイクがオゾン層を破壊し、紫外線が増加、核爆発で南極ロス氷棚を崩壊させ、海面が上昇。氷床に押されられていた南極の地殻も上昇したという想定。
さらに、マントル中層脈流に達するポールシフト誘因装置”超磁力システム”でバンアレン帯を消失させようとする。

「ブルードーム」は全長1800mのオウムガイ型の実験開発都市で、バヌアツで建設、係留型海底施設としてメラネシア海盆1000mの水深の海底活火山のカルデラ内に設置。
「ストリームベース」はゾーンダイクが南極深海底に建設している。

2016年1月11日月曜日

スティングレイ:トニーの海底大戦争 ジェリー・アンダーソン

●TV, 1964年~1965年

WASP(海底安全パトロール隊)の原子力潜水艦<スティングレイ>が活躍。イルカのように海面からジャンプできる。特異なのがその推進器。
=>The Futuristic Machines of Stingrayに
「twin Drumman hydrojets which expel superheated sea water at high pressure from a rotating "Eddy Damper"」とありました。
 ぐるぐる回ってたのは"Eddy Damper"で、そこから超高温水を高圧で噴射する危ないものだったのね。なんと水中速力600ノットとのこと。
  2065年が舞台。スティングレイの艦長:トロイ・テンペスト大尉、優秀なソーナーマンの”フォンズ”ジョージ・リー・シェリダン中尉、海底国パシフィカ (ダンマリニア)王アフォニーの娘マリーナ、トロイ艦長の恋人で赤毛の美人のアトランタ・ショア中尉、偏屈親父でアトランタの父親のサミエル・アーサー・ ショア司令官が登場。
 トロイとマリーナとアトランタの三角関係が面白い。涙を流すシーンも度々あり、感情表現があまりなかった「サンダーバード」よりも作品としての魅力は高いかもしれない。
 敵側は、海底王国<タイタニカ>のタイタン大王と地上偵察スパイX-20(ラモイ島に住みカツオブシ潜航艇でタイタニカと往復)、部下の半魚人(マゴジラ)、潜水艦<メカニカルフイッシュ(フグトラ潜航艇)>も登場。
=>紅山 尚人さんの秘密基地【相互リンク】
=>特撮潜水艦(SFX Submarine)のPAGE(Akira Saharaさんのサイト=>"The Strange Mechanism Museum - Neo -"。スティングレイ、サンダーバード4号の主要目が載っている。)

2016年1月3日日曜日

わが名はレジオン ロジャー・ゼラズニイ

サンリオSF文庫 1976年

 主人公アルバート・シュヴァイツァー、またの名ジェームズ・マディソン、またの名ジョン・ダンは、かつて世界中央データ・バンク計画にシニア・プログラマーとして参画、全体運営の老責任者ジョン・コルゲートのアドバイザーにまで昇進したが、この計画がもたらす未来に疑念を持ち、自分のデータをすべて消去する道を選らんだ。私設調査機関(世界で2~3番目に大きい探偵情報局)のドン・ウォルシュからの依頼で危険かつ秘密の仕事を請け負っている。
 「レジオン」の意味は最後まで出てこないが、主人公の本名かもしれない。

 ・第一部 <ルモコ>前夜
 西インド諸島とベネズエラの間にある小アンティル諸島の洋上に浮かぶ基地”アキナ”。そこから海底約数千キロに延びた縦坑(ちょっとそれじゃ地球中心に届いてしまう。数千mの間違いか。)ハイウェイが掘られている。海洋性地殻を貫いてマントルに達し、火山噴火を起こして新しい海洋島を造るもので、<ルモコ>計画と名付けられている。

 この計画の前身として「モホール計画」の名前が出てくるが、なんと本書では1957年、AMSOC(アメリカ雑学協会)のウォルター・ムンク博士とハリー・ヘス博士が提唱し(ここまでは本当)、ボーリングと円錐核爆弾で天然ガスを掘り起こす計画として紹介されている(本当にそうだったかも)。
 カリブ海のドーム都市ニューエデン(水深175ファゾム、人口十万人以上)、北アメリカ大陸棚沖のドーム都市ニュー・サレムが登場。

 ・第二部 クウェルクェッククータイルクェック
 バハマ諸島最大のアンドロス島沖合いにある人工島”ステーション・ワン”が舞台。幅約700フィートの固定基盤上に、ベルトレ-ン加工会社のウラン抽出工場、研究所、図書館、美術館、診療所、住宅、レクリエーション施設がある。周りは音響壁に囲まれた海底公園がある。そこでスキューバ・ダイバー2人がイルカに殺される。

 二人の体にはゴンドーイルカの歯形が。”イルカ・ソサイエティ友の会”元会長リディア・バーンズが出資するイルカ研究協会は、イルカは下顎で突き殺すことはできても噛み殺すことはできないと反論するが黙殺される・・・。

 アンドロス島に住むマーサ・ミレイはイルカなどの写真家として有名で、広島で被爆した母から生まれ下半身に障害を持つ。このマーサと主人公の間で議論される、まったく精神構造の異なるイルカとの意思伝達の問題が興味深い。ヨハン・ホイジンガの「ホモ・ルーデンス」では文化が遊びの本能として始まったとし、怠けたり競ったりすることも含めた遊びの統一的概念がラテン語”ルードス”と名付けられている。イルカもルードスの文化があるのではというもの。

 もうひとつ、イルカは眠らない。その代わりに、聴覚的な白昼夢を見ているのではというもの。そのほか、音楽など精神レクリエーション(”ディアゴーグ ”)の自然発生的表現の中に宗教的な意味合いがあるとの説から、イルカにも音による宗教的意味合いを表現するものがいるのではというもの。

 ・第三部 ハングマンの帰還
 惑星探査手段として革新的な遠隔自律探査ロボット(テレファクター)、ハングマンが開発された。数百億以上もの超伝導性トンネル連結ニューリスター型電池を1立方フィートに詰め込んだ独自に決断を下せる冷却装置付き頭脳を持ち、さらに操作手の脳波をヘッドギアで増幅して遠隔で交信する機能も持つ。核融合装置で動き、自分で修理でき、人間の12倍程度の力を出せる。

 ところがハングマンは木星の衛星イオの探査後、エウロパで異常行動を取るようになり、カリスト探査を拒否、天王星ティタニアに上陸して観測データを送り始めたのち行方不明。それから20年後、メキシコ湾に着水し行方不明。その翌日、ハングマンをプログラム化した4人の創始操作手の一人が撲殺された・・・。

2冊部内留保

ガイア-母なる地球-/ EARTH デイヴィッド・ブリン

ハヤカワ文庫

 オゾン層破壊によって皮膚癌の多発、生態系破壊に直面している時代。生態系学者で”現代ガイア・パラダイムの母”と呼ばれているジェン・ウォリングは新ガイア理論でノーベル賞を受賞。この理論によって、世界中に100近くも閉鎖生態系施設〈方舟〉が作られ、絶滅に瀕した野生種が集められている。

 一方、1990年代後半にアドラーとハートが統一理論を完成。2020年には実験室内に特異点(マイクロ・ブラックホール)を作ることが可能となった。

 ジェンの孫で若き天才物理学者アレックス・ラスティグは、特異点を使った発電所作りに荷担するが、ジャ-ナリスト、ペドロ・マネラに扇動された反対派が発電所を襲撃し、送電線が切断され、磁場ケージの中の特異点が地球内部に落ちてしまった。

 アレックスは、大企業タンゴパル社の会長ジョージ・ハットンらの援助を得て、超伝導重力波アンテナを建設し、アレックスの特異点〈アルファ〉が核内で蒸発しつつある一方、別の誰かが作った成長しつつある特異点〈ベータ〉(コズミック・ノット)を発見。この重力波走査が特異点と共振して地震を引き起こすことも知る。

 この重力波走査は、テザー型宇宙ステーション〈レーガン・ステーション〉(通称、エレウォン)に秘密裏に持ち込まれていた特異点とも共振する。最後のコロンビア級スペースシャトル〈プレアデス〉の女性船長テレサ・ティカナ大尉は、〈エレウォン〉の崩壊に遭遇し、そこで研究に従事していた夫を失う。

 アレックスらはコヒーレント重力波共振装置(ゲーザー・ビーム)を地球上の正四面体の頂点、チリのイースター島ラバ・ヌイ、グリーンランド、ニューギニア、南部アフリカに設置し、特異点〈ベータ〉を地球からはじき出すプロジェクトを開始する・・・。

 モホロビチッチ不連続面、マントル内のホット・プルームとコールド・プルーム、磁場逆転などの話題が登場する。マントル・核境界の超高温超高圧域で超伝導現象が生じる設定になっている。

 太陽エネルギー崇拝の〈ラーの使徒〉、環境技術と産児制限を推進する穏便派の〈ガイア教会〉、開発を全面否定する過激派の〈ネオ・ガイア主義者〉、遺伝子操作によって人間の捕食者を作りだそうとする〈シュクリー主義者〉、規制に反対する青年結社〈開拓者〉、野生動物救済の〈方舟〉などざまざまな宗派、思想グループも登場する。

本作品は、電子捕獲型検出器を発明したジェームズ・ラブロックと共生進化論を提唱したリン・マーギュリスによる「ガイア仮説」をさまざまな切り口で捉えている。中でも『「競争」と「共生」は表裏一体』という関係を、地球システムや生態系のみならず、脳の神経細胞や社会・経済システム、さらには、ネットワークにまで見出すところが興味深い。

ザ・コア 地球が復讐する日 ディーン・ウェズリー・スミス

ノヴェライズ版:メディアファクトリー2003

 ペースメーカーを埋めた人たちがいっせいに死亡。ハトの群が方向を見失って大混乱。スペースシャトルが間違った地点に誘導され、ロサンジェルスの河川敷に緊急着陸する事件が相次ぐ。地球磁場が消えようとしているのだ。各地にオーロラが出現し、1平方kmあたり数百個の雷<スーパーストーム>でメキシコシチューが壊滅する。

 急遽建造された地下穿孔船<バージル号>は、マリアナ海溝から地殻、マントル内に突入。なんらかの原因で停止しよとするコアを動かすため、200メガトンの核爆弾5個を内核表面で爆発させようとするが・・・。

 <バージル号>はダンテ「地獄篇」の地獄の底を案内する詩人から名付けられた。高周波波動レーザーと超音波共振管で岩石を溶かして掘ってインペラーから排出することで推進。24時間でマントルを通り抜け、15時間で内核に達する。掘進速度は時速100km(理論値815km)。全長60m、コックピットと6つのコンパートメントで構成。各コンパートメントの内部はジャイロ安定器付きジンバルで45度まで水平に保たれる。小型原子炉搭載。船体材料は「タングステンとチタンの基質による結晶を極低温で結合させた「アンオブタニウム」で出来ていて、工作は液体窒素で切断。華氏9000度(摂氏約5000度)まで耐える。視覚装置としては音波画像装置とMRI(核磁気共鳴?)カメラを搭載。

 マントル内に幅数kmもの晶洞「クリスタル・ジオード」が存在し、その内側にはビルより高い結晶体が林立する。

レッド・マーズ キム・スタンリー・ロビンスン

創元SF文庫 1993年

マーズ三部作
 ネビュラ賞、星雲賞、英国SF協会賞受賞。2026年、火星の多国籍からなる植民者100人が入植する。火星環境の改造と独立戦争をリアルに描く。火星環境改造の手法として、バイオ・テクノロジー、マントルまでの掘削孔(モホール)の掘削、氷小惑星を火星に衝突させるなどが登場。小惑星の鉱物資源を利用して軌道エレベータが建設される。

 行政能力に優れ、権力志向の強いフランク・チャマーズ、最初の火星飛行士で、英雄として尊敬を集めているジョン・ブーン、美貌で多感・激情型のマヤ・トイトヴナ、天才的な土木技師で朴訥なナディア・チェルネシェフスキィなど数十人もの登場人物を描きわける力作。

 2061年に火星の第1次独立戦争が勃発、軌道エレベータは破壊され、帯水層からの水の噴出による大洪水、フォボスの落下というカタストロフィーの後、the First Fundred(最初の100人の入植者)の生き残りたちは国連暫定政府に追われ、逃亡の旅に・・・。

(横浜研開架)

2016年1月1日金曜日

日本沈没 一色登希彦&小松左京

週刊ビッグコミックスピリッツ連載、BIG SPIRITS COMICS、全15巻完結 2009年

1.地下の竜巻
セミが鳴く11月:海底開発(株)深海潜水艇パイロット小野寺俊夫(デラさん)と結城慎司は新宿の居酒屋「雑種天国」(クロス ブリード パーク)で東京消防庁ハイパーレスキュー阿部玲子、田所雄介博士に出会い、そこで雑居ビルの沈没という異変に遭遇する。

12月:伊豆地方にM6.5の地震、天城山が噴火。廣田五月 官房長官、緒方茂弘 総理、邦枝康雄 総理秘書官、幸長伸彦 M大助教授、山城T大名誉教授、渡老人
「わだつみ9000」の整備中の絵

2.日本海溝
 A新聞の辰野竜一、母船ヌーデブランク、わだつみ9000はしんかい6500の最新高性能型。全長9.5m、全幅2.7m、空中重量26.7トン、H社製感応フィードバック型次世代タイプ極環境マニピュレータ
 深海底行動支援システム”レモラ”(REMOvable Research Assist、コバンザメ)を実験的に搭載。多数のTVカメラと車輪付きREMORA 1(タガメ号)、レフ板付き照明(あるいはLED照明パネル?)で遠隔照明を担当するREMORA 2/Rと2/L(ゲンゴロウ号)の3台から構成され、360度の視野をもたらす。
1万mまで3時間弱。なぜか9580mからさらに数十m潜航。マネキンの首。日本海溝の底は大量の重金属イオンによる密度躍層にしてDSL(深部散乱層)、1万500m以上

3.D計画
 1月1日:伊豆大島の三原山が大噴火。相模湾を襲った津波で死者・行方不明者21万3000人。「相模湾地震大津波」。
 中田一成(心理学/情報科学)。中・長期災害対策委員会A室(気象・地学)、B室(経済対策)、C室(立法準備)、D室/D計画

4.古都消失
 1月11日:京都大地震M8

5.推論、帰結ス。
 一万m級深海潜水艇”ケルマディック”:弱電流で作動する振動素子で推進。居住区を回転可動式にすることによって、潜航速度毎分300m。1万mまで40分足らず。全長9.7m、全幅2.7m、空中重量12.9トン、深海底行動支援システム”レモラ2”及び”レモラ3”を搭載。母船はホバークラフトLCAC改から工作艦「よしの」

「よしの」:”地球シミュレータシステムII”(TSSII、地球シミュレータより実効性能で千数百%上回る。ピーク性能 500テラフロップス以上、記憶容量200テラバイト、ノード間転送速度205ギガバイト以上)を搭載。マントル錘(コーン)モデル。日本列島を載せた錘が回転しながら相転移で痩せた分だけ沈む。
”わだつみ9000”:海底開発株式会社所属。母船ヌーデブランク号(うみうし)
元旦:相模湾地震津波(死者20数万人)、1月11日:京都大地震(概算死者50万人)
1日に50基のロボットセンサーを設置。1日に4~5回の潜航、ショットバラスト、バイザー、342日目で沈没

6.記憶喪失の国、記憶喪失の首都(2007.5.2)
 今回は京都大震災のあと、いよいよ第2次関東大震災が描かれる。
 まず、
日本人は過去の災害をどうしてほどよく忘れてしまうのか?
関東大震災で14万2千人が死んだ場所に、どうしてこんな大都市を作り上げるのか?
どうして今度は想定死者1万1千人で済むなどと言えるのか?(政府の中央防災会議の予測数)
という問い掛けから始まる。

乗車率数百%の列車(3千人以上が乗車)が1千本単位で走り回り、数百万台の自動車が走り回り、200トンもの重量の飛行機が分刻みで離発着し、揺れが増幅する高層ビルの建ち並ぶ首都圏で何が起こりうるかを問う。
途中はちょっと書けない。
終盤、過去の悲劇を忘れまいとしてきた人々による救援活動が描かれている。内容は、
・現地に乗り込んで活動する「前線組」に加えて、後方に留まって情報・人・物資の発信地・中継地となる「後方支援組」という参加方法がある。
・携帯・無線LANの無料開放によるインターネットを活用し、かつ、SNSなど半開放型システムと連携して支援する個人間の案内を可能としている。
・支援ウェブサイトが微に入り細に入り階層化されたマニュアルによって、賛同者がほとんどのケースに対応できる「安心」が得られるようになっている。

7.安部玲子

8.冥府、火の国
 緒方茂弘総理は5時間後の阿蘇噴火と一年以内の日本沈没を国民に通告し、熊本城に籠城する。

9.日本沈没阻止計画
 山城は核爆弾を使用する「日本沈没阻止計画」(A計画)を提案する。沈みゆくマントル錐(コーン)同士の接点に、海底地殻掘削船で発破をかけるというもの。爆発の衝撃でスマトラ級の数倍の津波が環太平洋地域を襲う。
 中田らは「A計画解体」作戦として、世界海洋財団《W・O・F》総裁ケヴィン・ゴドレイの出資のもと、スフェロマック型プラズマ核融合炉(庵野秀明がデザイン)を動力源し、カーボンナノチューブを構造材とする渦流生成加速装置VGAによる渦流爆縮で津波の位相中和を行う。 
 山城らのA計画に従事していた結城慎司は、真実を知って「A計画解体」作戦に加わり・・・。

10. 奇跡の価値・奇跡の代償

11.すばらしい日々
 7月、予測された完全沈没まであと6カ月。富士山が噴火し、フォッサマグナ大崩落しようとする中で、国外退避計画「D-2」が進められる。郷六郎が代表となる「D計画民間機関」に列島各地で海外脱出を待つ人たちのキャンプを運営する。

12.彼らの日々
 国土の27%が水没。

13.やまぬ雨の中で
 国連の日本救済特別委員会は日本人を受け入れる条件として、財産没収、使用言語の指定、生命の決定、居住地の決定と移動の制限は受け入れ国の権限とすることを通告。その受託を決する権限を持つ日本の代表として「D計画」民間組織の郷六郎代表を指名する。

14.沈み行く国
 緒方総理、富士山噴火の噴石により死亡、廣田五月が総理代行に。
 停滞する巨大台風のもと沈鬱な気持ちで日本を去ろうとする国民に、天皇が「晴れ晴れとした心のもちよう」で旅立つようことの言葉を伝える。

15.日本沈没
 中央構造線の崩壊、東南海複合大地震の発生により200万人が死亡。小野寺は記憶を取り戻して失踪し、安部玲子が「D計画」民間会社の3代目代表となる。
 小野寺は八丈島でマコの死を看取り、筑波で片岡らを救出し、かつて新宿と呼ばれた場所で結城の子を宿す結城まなみとナベさんを救出し、渡老人に頼まれて花枝を救出し、そこで玲子と結婚式をあげ、日本列島最後の生存者ニホンオオカミを救出して・・・。

=>一色登志彦公式サイト

(横浜研開架)

2015年12月15日火曜日

ハイドゥナン 藤崎慎吾

ハヤカワSFシリーズ Jコレクション、上下巻 2005年、2008ハヤカワ文庫 JA全4巻 

 この作品を紹介するのは難しい。これまでのどんなSFとも異なる。帯に書かれている「日本沈没」の現代版と期待して読むことはお奨めしない。予断を持たずに上下2巻を読んで欲しい作品である。

 といって何も書かないわけにはいかない。与那国島沖で発見された海底遺跡らしきものについて、誰がどうやって造ったか、そしてなぜそれが現在、海中にあるのかという疑問から出発し、与那国島に伝わる悲しい楽園伝説にも触発されて書かれた作品のようである。

 科学技術面については、7月末に完成したばかりの地球深部探査船「ちきゅう」の後継船となる深海掘削船が登場するが、その緊急オペレーションについて一般にはほとんど知られていない取材結果がたっぷり盛り込まれている。地球内部のさまざまな現象についても研究現場でリアルタイムに議論されている問題にまで踏み込んでいる。マントルから炭素が超高速で上昇してダイアモンドとなるキンバーライトの噴出現象を描いたのは本書が初めてであろう。

 単なる受け売りに留まらず、地殻~マントル内微生物などは最新の科学的知見より先に進んだ仮説を展開しているし、登場する1万m級有人潜水船も、海洋技術者のアイデアをふんだんに取り入れてなお一歩先を行ってる。

 このように、本書ではあまり知られていない地球・生命科学という分野の科学技術の夢とスペクタルにたっぷり触れることができるのは間違いない。

 もうひとつの側面は、筆者が「蛍女」や「ストーンエイジCOP/KIDS」で扱ってきたテーマにも通じるが、今の科学では説明できない能力を持つ少女と、その能力を「共感覚」を糸口として科学的に説明しようとする科学者たちを交えつつ、大胆に空想の世界を展開させている。

 そして筆者のすべての作品に通ずるが、自然描写の細やかさと色彩感覚の豊かさは本作品でも十二分に味わうことができる。
 肝心のストーリーについてはやはり読んでください。藤崎作品に登場するヒロインはやはりいいですね!

(登場メカ)
・潜水調査船<しんかいFD>:FDは"Full Depth"の意味。全長8.6m、CNTP船体、セラミックス球シンタクティックフォーム、2つの耐圧球で1泊2日潜航、倒立潜航が可能、燃料電池とリチウムイオン電池、研究者2人+操縦者2人、マルチナロービーム/サイドスキャン/サブボトムプロファイラ、音響水中映像、観測窓の直径25cm、iコパイ、平べったい形状で水中グライディング可能。バリヤブル・バラスティング・システム、非常用ショットバラスト、レーザーレンジファインダ、4台の<小亀>を搭載。その支援母船<するが>(約8000トン)
・深海巡航探査機<りゅうぐう>、無人探査機<かいえん>、その支援母船<さがみ>(約3000トン)
・深海掘削船<いざなみ>:30年前に建造された<ちきゅう>の後継船。全長250m、幅42m、総トン数6万3000トン、デリックの高さ120m、水深6000mで海底下1万5000m掘削可能。無人探査機<シール1、2>搭載、マントルまで16kmを3週間で掘れる。最大150人、潜水船を搭載可能。超高圧高温培養システム『ミニマントル』(4000気圧、350度C)を搭載。
・米1万m有人潜水船<フォナーリ>、<しんかい6500>と<よこすか>、<ハイパードルフィン>、中国原子力?深海調査船<先駆者>が登場。

(琉球語)
サバニ:琉球地方特有の形状をした漁師のくり舟
ムヌチ:物知り、市井の巫女的存在。ユタ。カンダーリ:神憑かり、スータガマリ:霊高生まれ
ウンガン:拝所/御獄
ハイドィナン:南与那国島、伝説の楽土、パイパティローマ:南波照間島、ニライカナイ:神々の世界
ダマヒルミ:八重山、ダティグチディ:屋手久頂上(与那国島の東部にある史跡のひとつ)、ティンダハナタ:与那国島の中部北側にある場所の地名
トゥラヌハカディ:北東の風
ニーバイ:屋敷神
キディムヌ:木霊、ンニムヌ:悪霊、マディムヌ:魔物
ダヌカン:火の神
ムドゥルヌチ:深海の神様
オナリ神:姉又は妹神(琉球語)/ブナイガン:姉妹神(与那国の呼び名)
オペレーション・ヒヌカン(火の神、ここでは神様ネットに接続してくれるプロバイダーみたいなものの意味)
フチヌマブイクミ:星に魂を戻す儀式、マブイクミ/マブヤクミ:魂を戻す儀式
ウガンフトウテイ:豊年祭、アマグイ:雨乞い
ビディリ:霊石
イチタライ:石の容器
ディンウヤシ:沖縄で神事の際に、紙銭や半紙などを燃やして泡盛をかけ、神様にお金や反物を贈る儀式
トウニ:邑根
カァブ:司、イチカ:石司
アミナグ:揺りかご
ドゥグティ:門口、マイソガティ:障壁
ワヌダー:ブタ小屋
シダディ:与那国の伝統的な織物。ブナイティサージ(姉妹手拭い)とも呼ばれる。

(略語)
JESTA:地球科学技術局(Japan Earth Science and Technology Agency)。
OREI:沖縄資源探査研究所
HMS:隠れマッドサイエンティスツ
ISEIC:Inter-Sphere Embedded Information Cloud, 圏間基層情報雲理論。<森知性>論の発展形。
OGUBA:酸素発生型呼吸装置、通称エアジェン
PQC:ポータブル量子コンピュータ、<ストーンリーダー>、お化けノートパソコン
ESJ:環境保護団体アースシップ・ジャパン
fMRI:機能的磁気共鳴画像
MEG:脳磁図
PET:陽電子断層撮影
PETS:圧電電子伝達系
CNTRP:カーボンナノチューブ強化プラスチック
RETTDASS:リアルタイム三次元音波探査システム(Real-Time Three-Dimensional Acoustic Survay System)
LCAC:エアクッション型揚収艇
PTCS:圧力温度保持コアサンプラー

(登場する生物)
海中:ストロベリーサンゴ、エダミドリイシ(造礁サンゴ)、アワサンゴ、アオサンゴ、ハマサンゴ、キクメイシ(塊状)、ミドリイシ(枝状)、ウスコモンサンゴ、リュウキュウキッカサンゴ、サンゴイソギンチャク、イボヤギ、イソバナ、カイメン、ウミユリ、リュウキュウスガモ(海草)
ツノダシ(熱帯魚みたい)、ヘラルドコガネヤッコ、ブダイ(黒い)、ソラスズメダイ、タカノハダイ、カゴカキダイ、ノコギリダイ、クロモンツキ(ニザイダイの仲間)、デバスズメダイ、タテジマキンチャクダイ(愛称タテキン、熱帯魚エンゼルフィッシュの一種)、スズメダイ、クマノミ、ハマクマノミ、チョウチョウウオ、ツバメタナバタウオ、キヘリモンガラ、ムラサメモンガラ、クログチニザ、モンガラカワハギ、メガネクロハギ、オニボラ、サザナミヤッコ、ダツ(細長い魚)、オニカマス(バラクーダ)、ハギ
ウツボ、ギンザメ、アカシュモクザメ、ツノザメ、アオリイカ、ナマコ、オオイカリナマコ、ウミウシ、キイロウミウシ、テッポウエビ、コシオリエビ、ショウジンガニ、アオウミガメ
貝類:クボガイ、バテイラ(シッタカ)、カンザシゴカイ、ナギナタシロウリガイ、シンカイヒバリガイ、ゴカイ、シャコガイ
陸上植物:オオタニワタリ、フクギ、アカバナ(真紅の花)、ユウナ(黄色い花)、シークワシャー(柑橘類)、ポインセチア、芭蕉の木、クロトン、ススキ、ガジュマル、アコウ、スゲ、アダン、ヤラブ(テリハボク)、クサトベラ、センダングサ、タビラコ、スゲ、ハマヒサカキ、クバ、パパイヤ、ウラジロガシ、スダジイ、ビロウ樹、ンバ(カニクサ)、クロキ、ギンネム、タブノキ
その他:マダラサソリ、ユカタンビワハゴロモ(昆虫)、ヨナグニサン/アヤミハビル(蛾)、コオロギ、スズムシ、キリギリス


(横浜研開架)

2015年12月4日金曜日

華竜の宮/深紅の碑文 上田早夕里

ハヤカワSFシリーズJコレクション 2010.10.25、2013.12.19

作家・評論家・編集者等の投票によって選ばれる早川書房の「ベストSF2010」の国内篇で、上田早夕里さんの「華竜の宮」がベスト1位に選ばれました!
「圧倒的な支持を受けて一位」とのこと。
「直球ど真ん中の力強い作品」、
「「世界沈没」とでも言うべきスケールの大きさやインサイダー的な視点の取り方からは、さまざまな第一世代作家の名前も思い浮かぶ。日本SFの正統に連なる傑作だ。」、
「上田早夕里には完全にノックアウトされた。」、
「その構成の巧みさ、テーマの大きさに圧倒された。」、
「今年は圧倒的な面白さの「華竜の宮」に尽きる。」、
「大きすぎた期待も軽々と上回った。「華竜の宮」には震えた。」、
「長らく温め推敲を重ねた歳月が窺える熟成の厚みに満ちた傑作。」、
「得られた生をどう生き抜くかを問うて前へと顔を向かせる。」、
「長年にわたり小松左京の「日本沈没」・・・・が峨々とそびえている感があったが、ついに踏破されたという印象を持った」
「今後もこの作家から目が離せそうにない。」・・・・
このような最大級の賛辞が並んでいます。
 その続編が「深紅の碑文」。

あらすじ
 25世紀。太平洋を取り巻くプレート沈み込み帯のスタグネーションスラブの一斉崩壊が始まり、白亜紀以来のホットプルームの再活性化による海底隆起で、多くの陸地が水没する。その未曾有の危機と混乱を乗り越えた人類は、再び繁栄を謳歌していた。陸上民は残された土地と海上都市で高度な情報社会を維持し、海上民は海洋域で〈魚舟〉と呼ばれる生物船を駆り生活する。

 陸の国家連合と海上社会との確執が次第に深まる中、日本政府の外交官・青澄誠司は、アジア海域での政府と海上民との対立を解消すべく、海上民の女性長(オサ)・ツキソメと会談する。両者はお互いの立場を理解し合うが、政府官僚同士の諍いや各国家連合の思惑が、障壁となってふたりの前に立ち塞がる。

 同じ頃、IERA〈国際環境研究連合〉はこの星が再度人類に与える過酷な試練の予兆を掴み、極秘計画を発案した・・・。

登場人物・組織
ネジェス
〈プロテウス〉
IERA
シャドウランズ