2016年1月1日金曜日

日本沈没 一色登希彦&小松左京

週刊ビッグコミックスピリッツ連載、BIG SPIRITS COMICS、全15巻完結 2009年

1.地下の竜巻
セミが鳴く11月:海底開発(株)深海潜水艇パイロット小野寺俊夫(デラさん)と結城慎司は新宿の居酒屋「雑種天国」(クロス ブリード パーク)で東京消防庁ハイパーレスキュー阿部玲子、田所雄介博士に出会い、そこで雑居ビルの沈没という異変に遭遇する。

12月:伊豆地方にM6.5の地震、天城山が噴火。廣田五月 官房長官、緒方茂弘 総理、邦枝康雄 総理秘書官、幸長伸彦 M大助教授、山城T大名誉教授、渡老人
「わだつみ9000」の整備中の絵

2.日本海溝
 A新聞の辰野竜一、母船ヌーデブランク、わだつみ9000はしんかい6500の最新高性能型。全長9.5m、全幅2.7m、空中重量26.7トン、H社製感応フィードバック型次世代タイプ極環境マニピュレータ
 深海底行動支援システム”レモラ”(REMOvable Research Assist、コバンザメ)を実験的に搭載。多数のTVカメラと車輪付きREMORA 1(タガメ号)、レフ板付き照明(あるいはLED照明パネル?)で遠隔照明を担当するREMORA 2/Rと2/L(ゲンゴロウ号)の3台から構成され、360度の視野をもたらす。
1万mまで3時間弱。なぜか9580mからさらに数十m潜航。マネキンの首。日本海溝の底は大量の重金属イオンによる密度躍層にしてDSL(深部散乱層)、1万500m以上

3.D計画
 1月1日:伊豆大島の三原山が大噴火。相模湾を襲った津波で死者・行方不明者21万3000人。「相模湾地震大津波」。
 中田一成(心理学/情報科学)。中・長期災害対策委員会A室(気象・地学)、B室(経済対策)、C室(立法準備)、D室/D計画

4.古都消失
 1月11日:京都大地震M8

5.推論、帰結ス。
 一万m級深海潜水艇”ケルマディック”:弱電流で作動する振動素子で推進。居住区を回転可動式にすることによって、潜航速度毎分300m。1万mまで40分足らず。全長9.7m、全幅2.7m、空中重量12.9トン、深海底行動支援システム”レモラ2”及び”レモラ3”を搭載。母船はホバークラフトLCAC改から工作艦「よしの」

「よしの」:”地球シミュレータシステムII”(TSSII、地球シミュレータより実効性能で千数百%上回る。ピーク性能 500テラフロップス以上、記憶容量200テラバイト、ノード間転送速度205ギガバイト以上)を搭載。マントル錘(コーン)モデル。日本列島を載せた錘が回転しながら相転移で痩せた分だけ沈む。
”わだつみ9000”:海底開発株式会社所属。母船ヌーデブランク号(うみうし)
元旦:相模湾地震津波(死者20数万人)、1月11日:京都大地震(概算死者50万人)
1日に50基のロボットセンサーを設置。1日に4~5回の潜航、ショットバラスト、バイザー、342日目で沈没

6.記憶喪失の国、記憶喪失の首都(2007.5.2)
 今回は京都大震災のあと、いよいよ第2次関東大震災が描かれる。
 まず、
日本人は過去の災害をどうしてほどよく忘れてしまうのか?
関東大震災で14万2千人が死んだ場所に、どうしてこんな大都市を作り上げるのか?
どうして今度は想定死者1万1千人で済むなどと言えるのか?(政府の中央防災会議の予測数)
という問い掛けから始まる。

乗車率数百%の列車(3千人以上が乗車)が1千本単位で走り回り、数百万台の自動車が走り回り、200トンもの重量の飛行機が分刻みで離発着し、揺れが増幅する高層ビルの建ち並ぶ首都圏で何が起こりうるかを問う。
途中はちょっと書けない。
終盤、過去の悲劇を忘れまいとしてきた人々による救援活動が描かれている。内容は、
・現地に乗り込んで活動する「前線組」に加えて、後方に留まって情報・人・物資の発信地・中継地となる「後方支援組」という参加方法がある。
・携帯・無線LANの無料開放によるインターネットを活用し、かつ、SNSなど半開放型システムと連携して支援する個人間の案内を可能としている。
・支援ウェブサイトが微に入り細に入り階層化されたマニュアルによって、賛同者がほとんどのケースに対応できる「安心」が得られるようになっている。

7.安部玲子

8.冥府、火の国
 緒方茂弘総理は5時間後の阿蘇噴火と一年以内の日本沈没を国民に通告し、熊本城に籠城する。

9.日本沈没阻止計画
 山城は核爆弾を使用する「日本沈没阻止計画」(A計画)を提案する。沈みゆくマントル錐(コーン)同士の接点に、海底地殻掘削船で発破をかけるというもの。爆発の衝撃でスマトラ級の数倍の津波が環太平洋地域を襲う。
 中田らは「A計画解体」作戦として、世界海洋財団《W・O・F》総裁ケヴィン・ゴドレイの出資のもと、スフェロマック型プラズマ核融合炉(庵野秀明がデザイン)を動力源し、カーボンナノチューブを構造材とする渦流生成加速装置VGAによる渦流爆縮で津波の位相中和を行う。 
 山城らのA計画に従事していた結城慎司は、真実を知って「A計画解体」作戦に加わり・・・。

10. 奇跡の価値・奇跡の代償

11.すばらしい日々
 7月、予測された完全沈没まであと6カ月。富士山が噴火し、フォッサマグナ大崩落しようとする中で、国外退避計画「D-2」が進められる。郷六郎が代表となる「D計画民間機関」に列島各地で海外脱出を待つ人たちのキャンプを運営する。

12.彼らの日々
 国土の27%が水没。

13.やまぬ雨の中で
 国連の日本救済特別委員会は日本人を受け入れる条件として、財産没収、使用言語の指定、生命の決定、居住地の決定と移動の制限は受け入れ国の権限とすることを通告。その受託を決する権限を持つ日本の代表として「D計画」民間組織の郷六郎代表を指名する。

14.沈み行く国
 緒方総理、富士山噴火の噴石により死亡、廣田五月が総理代行に。
 停滞する巨大台風のもと沈鬱な気持ちで日本を去ろうとする国民に、天皇が「晴れ晴れとした心のもちよう」で旅立つようことの言葉を伝える。

15.日本沈没
 中央構造線の崩壊、東南海複合大地震の発生により200万人が死亡。小野寺は記憶を取り戻して失踪し、安部玲子が「D計画」民間会社の3代目代表となる。
 小野寺は八丈島でマコの死を看取り、筑波で片岡らを救出し、かつて新宿と呼ばれた場所で結城の子を宿す結城まなみとナベさんを救出し、渡老人に頼まれて花枝を救出し、そこで玲子と結婚式をあげ、日本列島最後の生存者ニホンオオカミを救出して・・・。

=>一色登志彦公式サイト

(横浜研開架)

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