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2016年1月12日火曜日

アクエリアス・ミッション:Aquarius Mission マーティン・ケイディン

旺文社, 1980.8

1994年末に勃発した核戦争で地上は壊滅的な打撃を蒙っていた。時代は21世紀に入り,病んだ世界を救うため,食料とエネルギーの確保が急務となっていた。新型の海洋研究用潜水艇<シー・サーチ号>は,アリューシャン海溝を調査中,水深6000ftでマッコウクジラの群の襲撃を受けて破壊されるが,かろうじて生還する。米海軍は潜水艇<スイマー4号>を派遣するが,4000ftでサメの大群に襲われ,その後,26000ftしかないはずの アリューシャン海溝で36000ftまで潜航し体長 100ftのオオウナギに襲われたとのメッセージを通信カプセルに残して消息を絶つ。

 マリアナ海溝石油探査に赴くはずだった深海潜水調査船<シー・トレンチ号>は,<シーサーチ号>と<スイマー4号>の情報を元にアリューシャン海溝に向かう。そこには特異な文明を発展させた海底人イキアンの海底ドームが存在した・・・。

 第二部では,陸人と海底人の極めてポジティブな交流を描いており,<シートレンチ>の女性乗組員とイキアンの結婚も行われる。地上の核戦争の影響で,凶暴強化されたクラゲ状の生物ガームが海底ドームを襲撃する・・・。(sayalautさん)

 表紙ウラに「シー・トレンチ号」の断面図が付いているのがうれしい。海洋SFの世界の定番である船首展望室がある。その後ろにはハンドボールコートや娯楽室がある。15番目の乗組員がネプチューンというコンピュータ(コックを兼務)というのもSFの定番。

  本作品に登場する潜水艇は,<シー・トレンチ号>も含めて非浮力型潜水艇,つまり,推進力と水平舵で潜航・浮上するが,ちょっと間違っているのは,推進器を止めると沈んでしまうという点。水圧が大きくなると耐圧殻の圧縮率よりも海水の圧縮率の方が大きいために,潜れば潜るほど浮力が増えてしまうので,推進器を止めるとむしろ浮いてしまう。この点はジュール・ヴェルヌは正しく理解していた。

 核戦争は4ヶ月も経たない内に終結。十億人が死亡し,それから5年後も約20億人もの人々が放射線と細菌兵器による障害に苦しんでいる。米ソに代わって中国が軍事力を振るい始めているという設定。米国の正義の論理が若干鼻に付きますね。