旺文社, 1980.8
1994年末に勃発した核戦争で地上は壊滅的な打撃を蒙っていた。時代は21世紀に入り,病んだ世界を救うため,食料とエネルギーの確保が急務となっていた。新型の海洋研究用潜水艇<シー・サーチ号>は,アリューシャン海溝を調査中,水深6000ftでマッコウクジラの群の襲撃を受けて破壊されるが,かろうじて生還する。米海軍は潜水艇<スイマー4号>を派遣するが,4000ftでサメの大群に襲われ,その後,26000ftしかないはずの
アリューシャン海溝で36000ftまで潜航し体長 100ftのオオウナギに襲われたとのメッセージを通信カプセルに残して消息を絶つ。
マリアナ海溝石油探査に赴くはずだった深海潜水調査船<シー・トレンチ号>は,<シーサーチ号>と<スイマー4号>の情報を元にアリューシャン海溝に向かう。そこには特異な文明を発展させた海底人イキアンの海底ドームが存在した・・・。
第二部では,陸人と海底人の極めてポジティブな交流を描いており,<シートレンチ>の女性乗組員とイキアンの結婚も行われる。地上の核戦争の影響で,凶暴強化されたクラゲ状の生物ガームが海底ドームを襲撃する・・・。(sayalautさん)
表紙ウラに「シー・トレンチ号」の断面図が付いているのがうれしい。海洋SFの世界の定番である船首展望室がある。その後ろにはハンドボールコートや娯楽室がある。15番目の乗組員がネプチューンというコンピュータ(コックを兼務)というのもSFの定番。
本作品に登場する潜水艇は,<シー・トレンチ号>も含めて非浮力型潜水艇,つまり,推進力と水平舵で潜航・浮上するが,ちょっと間違っているのは,推進器を止めると沈んでしまうという点。水圧が大きくなると耐圧殻の圧縮率よりも海水の圧縮率の方が大きいために,潜れば潜るほど浮力が増えてしまうので,推進器を止めるとむしろ浮いてしまう。この点はジュール・ヴェルヌは正しく理解していた。
核戦争は4ヶ月も経たない内に終結。十億人が死亡し,それから5年後も約20億人もの人々が放射線と細菌兵器による障害に苦しんでいる。米ソに代わって中国が軍事力を振るい始めているという設定。米国の正義の論理が若干鼻に付きますね。
詳細
<シー・サーチ号>は2人乗りの非浮力方式。最新型の試作小型潜水艇。鋼鉄と特殊合成ガラスと合金製。耐圧強度:35トン/平方インチ。三胴船<ウィンドワード号>を母船とする。
<スイナー4号>は4人乗りの戦闘用潜水艇。原子力推進。C-14で空輸可能。
<シー・トレンチ号>は,1990年に建造開始,2005年に完成。排水量16000トン,全長519.11ft,噴水ジェット推進,水中速力120 ノット以上,耐圧強度20トン/平方インチ。1回の燃料補給で3年間航行可能。14人の乗組員及び15人目の乗組員であるネプチューンにより操縦可能。うち4人は医学担当。50人の科学者を乗せることができる。5年分の冷凍食品を貯蔵できる。レーザー・ホログラム映像,メーザー光線(青緑色),魚雷(テレビ用,照明用,音波探知用,攻撃用),音響爆弾(スクリーマー),4人乗り小型潜水艇<シーカー1号>(有線通信が可能)を搭載。
<シートレンチ号>乗船者
マシュー・チャドウィック博士:スクリップス海洋研究所
ラリー・テンプルトン:チャドウィック博士の助手,オールラウンドの知識を持つ新世代の研究者。26才
ミコ・アカサダ・スチュワート博士:日系アメリカ人三世,クジラとのコミュニケーションの世界的権威,深海底心理学の専門家,元オリンピック高飛び込み金メダリスト,潜水実験中に死亡したハロルド・スチュワート中佐の妻
リチャード・カスティリョ:男子学生。メキシコ系アメリカ人。構造地質学と人工頭脳学に詳しい。
ジェシカ(ジェシー)・エイムズ:女子学生。赤毛でそばかすだらけ。海洋生物学,18才
ジェローム(ジェリー)・M・マニング大佐:艦長。気むずかしい攻撃的タイプ
ウィリアム(ビル)・ライアン中佐:副長(荒くれビル),体格の良い黒人
クリス・パタラキス中佐:作戦担当,黒い巻き毛のずんぐりした男
ピーター(ピート)・ウィリアムス中佐:司令塔担当,背の高い敏捷な赤毛の男
アル・マッキニイ(マック)少佐:攻撃制御担当士官。体の大きい,のんきそうな男
マット・マシューズ中佐:原子力システム担当,顔にひどい裂傷を負っている。
チャールズ・オトリ少佐:原子力システム,推進装置担当
シッド・プレンティス大佐:音響・魚雷担当。
ハル・スパルコ:通信将校
エディ・ホルヴァク(アーバック?):操縦担当?
ジョン・シモンズ博士:医師
トマス・ベーカー大尉:
ネプチューン:15人目の乗組員,コンピュータ。料理人,マニング艦長しか会えない。
JAMSTEC共済会サークル「SF倶楽部」が収集した地球・海洋SFを収録。これは書評ではなく、創作作品に登場する地球・海洋・生命科学ネタを紹介するものです。旧「地球・海洋SF文庫」よりこのBloggerに再登録完了。
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・出典:少年少女海洋冒険物語(Sayalautさん)
・SF倶楽部の図書購入・寄贈履歴
・バーチャル博物館
Contents
乗物:"潜水船", "潜水艦", "スーパー・サブマリン", "ロボット", "ダイビング", "モビルスーツ", "水上船舶", "調査船", "掘削船", "砕氷船"
行動:"救難", "サルベージ", "海洋調査"
都市と基地:"都市", "基地", "古代文明":
歴史:"地球史", "氷期", "考古学", "進化", "古代文明"
生物:"海棲ほ乳類", "モンスター", "頭足類", "軟骨魚類", "生態系", "進化", "海洋牧場", "水棲人", "微生物", "遺伝子", "パンデミック"
資源・エネルギー:"海底資源", "エネルギー", "ハイドレート", "海洋牧場"
気候・環境:"気象・気候", "海面上昇", "大異変", "極域", "環境汚染", "衝突"
固体地球:"地震・火山", "噴火", "津波", "熱水噴出", "地球内部", "マントル"
分類ラベルの付け方(必ずお読みください)
行動:"救難", "サルベージ", "海洋調査"
都市と基地:"都市", "基地", "古代文明":
歴史:"地球史", "氷期", "考古学", "進化", "古代文明"
生物:"海棲ほ乳類", "モンスター", "頭足類", "軟骨魚類", "生態系", "進化", "海洋牧場", "水棲人", "微生物", "遺伝子", "パンデミック"
資源・エネルギー:"海底資源", "エネルギー", "ハイドレート", "海洋牧場"
気候・環境:"気象・気候", "海面上昇", "大異変", "極域", "環境汚染", "衝突"
固体地球:"地震・火山", "噴火", "津波", "熱水噴出", "地球内部", "マントル"
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2016年1月12日火曜日
アクエリアス・ミッション:Aquarius Mission マーティン・ケイディン
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マーティン・ケイディン,
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海棲ほ乳類,
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大異変,
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