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2016年5月5日木曜日

ガメラ 大映

1965年 大映 角川

「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(1968, 映画)
 いたずら好きの正夫とジムは海洋研究所に忍び込み潜水艇のモーターを逆につないでしまう。
「ガメラ対深海怪獣ジグラ」(1971,映画)/「大怪獣ガメラ1-大怪獣深海戦ガメラ対ジグラ」**(1995,コミックス,原案:高橋ニ三,作画:槙村ただし,徳間書店,少年キャプテンコミックススペシャル)

 鴨川シーワールド内・国際海洋生物学研究所の所員、石川洋介とトム・ウォレス。『ジグラ』はバチスカーフを一万二千メートルの海底に運び去る・・・。
(コミックス版)

 海洋生物学研究所の科学者の石川とトム。それぞれの息子・娘の健一とヘレンは宇宙船の海中落下を目撃。調べに行った4人はジグラ星人の宇宙船内に物質転移される。彼らは東京でマグネチュード8.5の地震を起こし、それがジグラ星人の力によることを石川らに証言させる。彼らは公害汚染によって住めなくなったジグラ星の海を捨てて地球にやってきた。降伏しなければ地球全体にマグネチュード15の地震を起こすと世界を脅迫する。

 水圧の異なる地球ではジグラ星人が巨大化し、ガメラとの戦いが始まる。ガメラはジグラの細胞停止光線を浴びて海中に沈む。ガメラを電波で目覚めさせようと4人は深海調査用バチスカーフでガメラに近付くが、ジグラの光線を浴びてしまう。落雷で目覚めたガメラはバチスカーフを救出する。ジグラの破壊光線、細胞停止光線、背びれ攻撃で苦戦・・・。

「ガメラ3 ~邪神(イリス)覚醒~ GAMERA3」(1999,金子修介監督,大映・東宝映画)
 前田愛, 中山忍, 藤谷文子, 山咲千里出演。海洋科学技術センターの無人深海探査機「かいこう」が沖ノ鳥島沖海底で『ガメラ』の墓場を発見するところから『ガメラ』誕生の謎が解き明かされて行く・・・。

2016年5月4日水曜日

原潜迎撃/Deep Sound Channel ジョー・バフ

原著2000、ソニーマガジンズのヴィレッジ・ブックス,2003

 米国やロシアの原潜が登場する作品は数多いが、このシリーズはセラミクッス製船殻を持ち、水深4000m以上の潜航能力を持ち、珍しくSF性の強い原潜同士の戦いが描かれている。

 戦術核魚雷による潜水艦バトルはむしろチェスのようで,あまりワクワクするような話ではないのですが、ヒロインが南アフリカ出身、スクリプス海洋研で海洋学の博士号を取ったという設定。

 このヒロインはドイツの天才的な潜水艦艦長の元恋人だったが、肉親を南アフリカ政権に殺され、連合国側の新鋭原潜<チャレンジャー号>に海洋科学アドバイザーとして協力することになる。<チャレンジャー号>の艦長代理が人間関係では不器用ないささか屈折した人間で、この艦長代理とヒロインとの関係が面白い。

 物語は、2011年、ドイツと南アフリカで武力衝突が勃発し、超国家主義者が政権を掌握。ついに英米を中心とする連合国との間で小型の戦術核を応酬しあうというかなり沈鬱な世界。アーケア(好熱性の古細菌)を細菌兵器化する秘密研究所を核で破壊するために米新鋭原潜<チャレンジャー>は SEAL部隊を送り込む。ライバルは同等の性能を持つ南アフリカ側原潜<フォールトレッカー>。

2016年5月3日火曜日

メガロドン(MEG) スティーヴ・オルテン

1997年 角川書店 角川文庫

『メガロドン』という太古の巨大ザメがマリアナ海溝の熱水活動域から、海面に現れて人々を襲う小説。日本の海洋科学技術センター、<かいこう>などの名前がよく出てくる。ディズニーで映画化された? 海溝底での地殻変動を観測するUNIS(無人海底情報探査機)、浮力制御型海中グライダーである一人乗り深海潜水船<アビス・グライダー>が活躍する。また、メガロドン退治のため世界初の原潜<ノーチラス号>が再就役する。


 おかしな点がかなり散見される。
・マリアナ海溝底に熱水活動域があるというのは無理がある。アメリカ西海岸で拡大軸(東太平洋海膨)と北米プレートが衝突していることとの混同か? また、冷水層の下に温水層が安定的に存在し得るか?


・<かいこう>が「1993年に10,739mで壊滅」とある。もしかすると、最初の試験潜航時1994年3月に10,900m付近で発生したブラックアウト(failure)の誤訳? 本物の「かいこう」は、その後1995年3月に再挑戦して10,911.4mの潜航に成功しているが、物語の都合から失敗したままなのはやむを得ない。

・潜航深度6,000mのシークリフがマリアナ海溝で水深9,000mに潜ったのは変。また、その減圧せずに浮上したために2人が死亡とあるが、耐圧殻内は大気圧なので、減圧の必要はない。それとも、潜航深度を増やすために加圧したか・・・。

2016年5月2日月曜日

サイレン戦記 ひおあきら

1979-80,サンコミックス/朝日ソノラマ,月刊アウト

 海洋ロボットもので水棲人間が登場。

MYSTIC LIFE たみとし

オンライン作品 2001年

 たみとしさんのサイト"水野我楽多工房"より。

 深海の未知の生物が登場するオリジナル作品。相次いで無人小型深海調査艇の事故が発生。幾つかの触手を持つ生命体が発見される。触れ合うことで同化でき、知恵も栄養も共有し合えるアイアイ、アイ,オイ、ワム、バンク、ミニダルたち。

 マリアナトフでミスライ研究所の深海探査船<TAKO>が試運転を開始。女性パイロットのメリサを乗せて犬の散歩道と名付けられた峡谷を探査する。随伴する無人探査船<BEBE>。アイアイたちをイカが襲撃する。撃退されたイカは<TAKO>を襲い、<TAKO>は浮上不能となる。アイアイたちは・・・。

 イラストが色彩豊かで美しい。特に青色の使い方が素晴らしい。

=>水野我楽多工房>Mistic Life

深海のYrr :THE SWARM フランク・シェッツィング

ハヤカワ文庫NV,2008 姓のaはウムラウト
 
先月ドイツを訪問した際に、ブレーメン大学でお会いしたBohrmann教授から日本人(メタンハイドレートの松本良教授、AUVの浦環教授)も登場して面白いからと1冊のペーパーバック(881ページ!)をいただきました。今日、やっと読み終わり、西村さんの要請もあり、ごく簡単に紹介します。

 邦訳はまだなさそうです。ドイツではベストセラーで国際的に200万部以上売れたと表紙にあります。
 読後の感想は、まずたいへんに面白く読み始めたら止められない。副題が「深部(海)の小説」で、たいへんにスケールの大きな,海洋地球生物SFです。
 科学的にいいかげんなところがなく(現在の知見をフルに動員しているようである)、Bohrmannほかも実名で登場し活躍する内容です。

 どういう話かは、言えません。言えませんが、海洋の生物、環境が異常を来し始めて、人間社会に影響をもたらし始めます。さまざまな性格の登場人物が、そのわけを探って行くうちに、とてつもない問題であることがわかってきます。問題を認識対処するのに、科学者がどういうものか非常にわかっている描写になっています。読むうちに、気候変動、海洋循環、プレートテクトニクス,極限環境生物,生物多様性、環境問題などがすべて関係してきます。そしてそれ以上の話です。言ってしまうと、私が経験した、読み進むうちの興奮が損なわれると思うのでここまでにします。(by K.S.さん)

 この作品、”『海洋科学基礎講座』全6巻をハリウッドのパニック映画にした”といえばよいだろうか。普通の長編小説の数冊分にも匹敵する比類なき海洋SF大作である。ジェームズ・ポーリックの『腐海』という海洋SFの傑作があるが、有毒渦鞭毛藻類というプランクトンが人類を襲う。本作品でもこれが猛威をふるうほか、メタンハイドレートを食べるアイス・ワーム、旺盛な繁殖力のカワホトトギスガイ、猛毒のヒョウモンダコやハブクラゲ、眼が退化したユノハナガニなど少々マニアックな生物が人類を脅かす。

 さらに海洋大循環、プレートテクトニクス、大陸棚斜面や海洋島の崩壊、化学合成生態系など注目されている地球科学のウンチクが語られ、また、独調査船〈ゾンネ〉や砕氷船〈ポーラーシュテルン〉、東大浦研究室の自律型水中ロボット、各種の地球観測衛星、一人乗り水中滑空潜水艇、大気圧潜水服など実在の海洋メカもひととおり登場する。

 てっきり海洋オタクの一発もの作品かと思えばそうではない。元ミュージシャン志望、広告代理業も経験したという文系の人気作家であって、しかしその熱心さと筆力はタダモノではない。本書より先に翻訳されたノンフィクション『知られざる宇宙-海の中のタイムトラベル』では、ビッグバン以降、地球46億年の歴史から、生命の起源、海洋生態系、さらには浮遊式人工島ほか海洋工学分野を網羅する第一級の啓蒙書である。しかも図や表をいっさい使わず、巧みな比喩で一気に読ませてしまう。

 登場人物は、映画俳優似で女性にもてもての中年ノルウェー人生物学者と、イヌイット出身で恋愛に臆病な若い鯨類生態学者という対称的な2人を主人公とし、恋愛が絡み、敵キャラの人物像にも厚みがあり、サービス満点のエンターテインメントである。著者は映画とワインも大好きなようで、そこかしこに映画や俳優への言及があるのも楽しい。(SFマガジン掲載)

七つの海のティコ 広尾明

1993年 日本アニメーション/フジテレビ、ビデオ10巻39話、原案:1958~広尾明
・ノベライズ版:スニーカー文庫全3巻:寄贈済み

 「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」など感動の名作揃いの子供名作劇場の中で唯一のオリジナル作品。

 なんと潜水調査船搭載の海洋調査船が舞台。スコット・シンプソンと一人娘のナナミ(七海、11歳)とシャチのティコ、スコットの相棒のアル(アルフォンゾ・アンドレッティ)、メルビル財閥の娘シェリル・クリスティーナ・メルビルと執事のジェームス、スコットの大学の研究ライバルだったルコント博士の息子トーマスが道ずれ。

 海洋生物調査と宝探しを目的としてオンポロ船<ペペロンチーノ号>で世界中の海を探検。伝説の生き物ヒカリクジラを追い求めている。一方、謎の物質トロンチウムで生物兵器を作ろうとする世界最大の多国籍鉱業コングロメリットGMC(グローバル・マイニング・コーポレーション)がヒカリクジラのトロンチウム体内合成能力に気付き・・・。

2031年、さようなら「うらしま」 藤崎慎吾

2004年ベスト地球・海洋SFオンライン作品・同人誌部門最優秀作品

 海洋科学技術センター(JAMSTEC)の自律型巡航無人機(AUV)「うらしま」(写真、仕様)の30年後を主人公とするジュヴィナイルSF短編。本作品に登場する支援母船「よこすか」は二世である。

 著者の許諾を得て、全文のPDFファイルを掲載しましたので、「Adobe Acrobat Reader」(お持ちでない方はAdobeのサイトから無償ダウンロードできます)により”縦書き”でお読み下さい。
((C) Shingo Fujisaki 2001 all rights reserved.この文書の無断転載や配布、改変等はかたくお断りします。)
=全文PDFファイルのダウンロード

 音声合成装置で閲覧される方に限りテキストHTML版をどうぞ。

2016年5月1日日曜日

アフロディーテ 山田正紀

1987、講談社文庫、「人工海上都市アフロディーテ」2001初演

 2003年、海上都市”アフロディーテ”が完成する。人口20万人、やや裾の広がったサザエのような形をしている。前面を紫色の珊瑚礁、巧妙にカモフラージュされた防波ダンパー-幅50mのいかだ状構造物を連ねた消波装置-で囲まれている。

 海抜300mの人口の山”彼女の頭(ハーヘッド)”がある。東側が”彼女の足(ハーレッグ)”地区で、個人用のボートハーバーとして利用されている。湾の向こう側、西側の”彼女の尻(ハーヒップ)”は雑然としていて他民族地区となっている。回教徒寺院(モスク)、笑猫亭(ラーフ・キャット)がある。中央の”彼女のあそこ(ハーイットゥ)”地区はアフロディーテの中枢部であり、国連ビル、コントロール・タワー、インフォメーション・タワー、各種の海洋研究施設、美術館、豪華ホテル、ショッピング・センター、海中レストラン、ケストス広場が集中している。

 三つの地区を結ぶ手段として、深度10mの海中を結ぶプラスチック・チューブの”海洋プロムナード”、電子カーが走る”電子コントロール・ハイウェイ”がある。

 小型潜水船<ローズ・バッド>(水中ロケット推進、2人乗り、水中速力20~25ノット)、海底ロボット<モボット>(浚渫用)、海洋計測ロボット<OSPER>(パターン認識機能がある)、超高速水中翼船(スーパー・ハイドロフォイル)が登場する。「海洋工学入門」(合田周平)が参考にされている。

 「国際連合が提唱し建設された理想の人工海上都市に夢を求めて移住した少年がいた。アフロディーテは順調に発展を続け、主人公は自分の居場所を見つけ、友人にも恵まれ、とてつもなく楽しい時期を過ごす。
 繁栄の陰に少しづつ、ほころびはじめた半独立国家アフロディーテ。時代が変わり、アフロディーテが存在価値を失い、大国の援助なしでは存続できなくなっていった。そのアフロディーテに更なる未来を与えた主人公の物語。
 若さとは、幻?。理想の社会って、何?。自分の居場所って何処?。
 これは、SFの姿をかりたヒューマンドラマです。」

=>感想(SAKATAMさんの黄金の羊毛亭より)
=>人工海上都市アフロディーテ

ゼリーフィッシュ・ガーデン 上田早夕里

「小松左京マガジン」第8巻

 第三回小松左京賞の最終選考候補作(「桓崎由梨」。選評は「小松左京マガジン・第8巻」に掲載)。浮遊型海洋実験都市《ブルー・モジュール》で働く研究者とスタッフの仕事を、専門書ではなく、一般向けの科学雑誌の記事を書いて生活しているサイエンス・ライターが取材するという話。

 《ブルー・モジュール》は、海洋関係の学術調査と、各種の海洋開発・海洋実験を行う実験都市で、研究都市としての側面と、海洋資源開発の経済的発展を促進するという、ふたつの貌を持っている。出資の大半は一般企業に頼っているが、学術方面からの支持と要請があるため、この両側面を成立させるべく、運営に関しては、微妙なバランスが保たれている。

 この実験都市上で働く深海生物研究班の中に、深海のクラゲを研究しているスタッフがおり、彼らが研究している新種のクラゲが、ストーリー展開上の軸となる。深海探査の機器としては、「しんかい6500」をモデルに著者が創作した、有人潜水調査船「かいりゅう」が登場する。その他、深海で調査船のアシスタントとして働く人工知能搭載の無人探査機、レスキュー・ロボット、なども出てくるが、このあたりも、JAMSTECで使われている実在の機器をモデルに、著者が創作している。

=>上田早夕里さんのサイト
=>上田早夕里さんのブログ

2016年4月30日土曜日

海竜めざめる:The Kraken Waken ジョン・ウインダム

ハヤカワ文庫SF,星新一訳/「深海の宇宙怪物」(SFこども図書館3)、福音館書店〈ボクラノSF〉シリーズ2009.2.25

 主人公のEBC放送局の記者マイク・ワトソンと、その妻でノンフィクション記事の得意なフィリスは、新婚旅行の客船上で5つの赤い火球が次第に高度を下げて海中に次々と落下したのを他の乗船者とともに目撃した。

 それから2年後、火球が領空侵犯で撃墜されるケースが続出。これらの飛行コースを水路測量図に書き込むと、水深8000m以上のいくつかの海域に集まっていた。英海軍は水深7千数百m以上のケイマン海溝で調査を行うことになる。2人の技術士官が乗った潜水球「バチスコープ」が潜航、最大潜航深度2400mで何かが接近する報告のあと通信途絶、ケーブルが溶けたように切断されていた。続く4800m無人機「テレバス」も喪失。

 同じころ、米海軍もフィリピン沖で隊員2人が乗る潜水装置を失い、その後、アリューシャン沖でも米海軍の艦船が消息を絶つ。

 さらに3年が経過。その間に二人の間に愛児が生まれたが、18ヵ月後に突然死で失うことに。その傷を癒すために2人は世界各地を旅していたのだった。ところが米巡洋艦、ロシア船舶、ノルウェー巡視船ほか6隻の海洋調査船が相次いで沈没し、二人は仕事に引き戻されることに。

 米海軍はついにマリアナ沖で深海用原爆を投入する。その頃、ポッカーという著名な地質学者が宇宙からの知的生物が深海に移り住んできたという説を唱えていた。

 ついに潜海異生物ベイシーとの戦争が本格化し、客船の相次ぐ沈没、投下した原爆の不発と遠くはなれた海域での爆発、黒潮流域で大規模な海底工事を推測させる変色域の発生、さらには島や沿岸の街が海から来た謎の戦車に襲われ、住民が次々とさらわれていった。

 反撃によって戦車が出現しなくなったところ、やがてグリーンランドや南極の氷床の崩壊による海面上昇が始まる・・・。

 最後まで敵が姿を見せないまま物語が進行する不思議な雰囲気。海面上昇についての記述が40年以上も昔とは思えないぐらいに科学的。なんと自律型無人潜水機(日本が開発したとの設定)が対ベイシー兵器として登場する。

ささなみのアケロン 湯田伸子

サンストロベリ-全1巻/サンコミックス 1985年

短編集。

人類播種が進行する時代。700年前に大陸が沈没し、住人が全滅した海洋惑星アケロンにも、地球人による海底資源の採掘塔が設置されていた。アケロン人の無人自動船と、破局寸前の夫婦を絡めた作品。(by Sayaraut)

2016年4月28日木曜日

タイタニック キャメロン監督

1997年 ディカプリオの大ヒット映画。アカデミー賞11部門受賞。キャメロン監督。

<タイタニック>の探索シーンでは、ロシアの6,000潜水調査船<ミールI&II>とその母船(<Akademik Mstislav Keldysh>、船の長さ122m、排水量5,500トン)、そして、<ミール>から発進する無人探査機ROV<DUNKIN>という、深海調査ではお馴染みの機器がリアルに活躍する点で画期的。

研究者たちの海 寺本俊彦

成山堂 1994年

 シーオメガ計画-国際科学技術洋上研究所(いわゆる巨大空母)構想、しんかい6500、白鳳丸、ニューラル・ネットと自律型(無策式)無人機、AQUA EXPLORER 1000、水中歩行ロボット-アクアロボ、水中音響技術、バイオテレメトリ、魚の音響馴致、海洋大循環、黒潮、水位変動、氷海研究、深層水、イルカと音、抗ガン剤探しなど。

インナースペース 高川真一

東海大学出版会 2007

 無人機と潜水船についての技術バリバリの本、「ロボット工学便覧」みたいな本かと思ったら、地球の大きさを基本的な数学で実感させるなど、高校で習ったことのある知識でなんとか理解できるようにしたり、ところどころに親しみやすい与太話を交えるなど、読みやすくする工夫と努力の跡が感じられた。

 それと、この本を読むと、高川氏はエンジニアというより理科の先生という感じですね。身の回りに隠れている「不思議」を見つけ出し、それを納得のいくまで考え抜いて、納得のいく答えが見付かったときの爽快感が忘れられなくなり、それが中毒となってまた「不思議」探しをする、と前書きに書いてある。

 深海にどんな不思議があるのかを紹介する部分では、高川氏自身が地球内部になぜマグマ溜まりができるのかなど疑問を持ち、そのようないくつもの「不思議」を解き明かすために無人機や潜水船や掘削船を開発するという高川氏の基本姿勢に感心した。

 個人的には、無人機のケーブルが捩れていくメカニズムの話、水中音響学の体系的な紹介、深海掘削のこれから開発されようとしている技術などが読めて大変うれしかったが、そのほかにも私が耳学問で知っていた技術の経緯や意味を体系的に説明してあり、なんども「ヘー」を発しながら読ませてもらった。

2016年4月25日月曜日

エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ ジェームズ・キャメロン

製作・監督・撮影:ジェームズ・キャメロン、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、IMAX-3D、2006年3月発売

=>公式サイト リンク切れ

 ジェームズ・キャメロンの深海ドキュメンタリーとしては、タイタニック号と独戦艦ビスマルク号に次ぐ3(4?)作目。今回はミール1、ミール2だけでなく、潜航深度1000mのディープローバー(全方位が見渡せるアクリル製耐圧球)2隻も加わって計4隻同時潜航。

 最初の舞台は大西洋の炭酸塩チムニーが発達した「ロスト・シティー」。ここならディープローバーも潜れる。NASAの地球外生命の研究者がエウロパの海の生命探査の訓練としてこの潜航に加わっている。

 潜航深度3000mの大西洋東太平洋海膨のチューブワームなどの映像もたっぷり。ミールのカーゴベイにあわせて製作された小型UROV(バッテリー内臓の光ファイバー操縦)で熱水採取などの訓練を行う。

 最後に原子炉を持った惑星間宇宙船からエウロパに着陸船を降ろし、ロケット型の探査機を氷に突き刺し、頭部の原子炉で氷を溶かして海中に到達させ、エウロパの生命と出会うシーンがCGで登場する。

2016年1月18日月曜日

スペア・パーツ ショーン・マクナマラ監督

日本公開は未定。原作はジョッシュ・デイビスのe-magazineに載った「Spare Parts」。
amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/B00URJFYEG(北米リージョン用DVD)




アリゾナ州フェニックスのコミュニティ高校の生徒がNASAが主催する水中ロボットコンテストでエリート大学を破って優勝するという実話に基づいた作品。




以下のブログで詳しく紹介されています(ネタバレあり)
http://blogs.yahoo.co.jp/kj3996912/36566216.html

2016年1月3日日曜日

わが名はレジオン ロジャー・ゼラズニイ

サンリオSF文庫 1976年

 主人公アルバート・シュヴァイツァー、またの名ジェームズ・マディソン、またの名ジョン・ダンは、かつて世界中央データ・バンク計画にシニア・プログラマーとして参画、全体運営の老責任者ジョン・コルゲートのアドバイザーにまで昇進したが、この計画がもたらす未来に疑念を持ち、自分のデータをすべて消去する道を選らんだ。私設調査機関(世界で2~3番目に大きい探偵情報局)のドン・ウォルシュからの依頼で危険かつ秘密の仕事を請け負っている。
 「レジオン」の意味は最後まで出てこないが、主人公の本名かもしれない。

 ・第一部 <ルモコ>前夜
 西インド諸島とベネズエラの間にある小アンティル諸島の洋上に浮かぶ基地”アキナ”。そこから海底約数千キロに延びた縦坑(ちょっとそれじゃ地球中心に届いてしまう。数千mの間違いか。)ハイウェイが掘られている。海洋性地殻を貫いてマントルに達し、火山噴火を起こして新しい海洋島を造るもので、<ルモコ>計画と名付けられている。

 この計画の前身として「モホール計画」の名前が出てくるが、なんと本書では1957年、AMSOC(アメリカ雑学協会)のウォルター・ムンク博士とハリー・ヘス博士が提唱し(ここまでは本当)、ボーリングと円錐核爆弾で天然ガスを掘り起こす計画として紹介されている(本当にそうだったかも)。
 カリブ海のドーム都市ニューエデン(水深175ファゾム、人口十万人以上)、北アメリカ大陸棚沖のドーム都市ニュー・サレムが登場。

 ・第二部 クウェルクェッククータイルクェック
 バハマ諸島最大のアンドロス島沖合いにある人工島”ステーション・ワン”が舞台。幅約700フィートの固定基盤上に、ベルトレ-ン加工会社のウラン抽出工場、研究所、図書館、美術館、診療所、住宅、レクリエーション施設がある。周りは音響壁に囲まれた海底公園がある。そこでスキューバ・ダイバー2人がイルカに殺される。

 二人の体にはゴンドーイルカの歯形が。”イルカ・ソサイエティ友の会”元会長リディア・バーンズが出資するイルカ研究協会は、イルカは下顎で突き殺すことはできても噛み殺すことはできないと反論するが黙殺される・・・。

 アンドロス島に住むマーサ・ミレイはイルカなどの写真家として有名で、広島で被爆した母から生まれ下半身に障害を持つ。このマーサと主人公の間で議論される、まったく精神構造の異なるイルカとの意思伝達の問題が興味深い。ヨハン・ホイジンガの「ホモ・ルーデンス」では文化が遊びの本能として始まったとし、怠けたり競ったりすることも含めた遊びの統一的概念がラテン語”ルードス”と名付けられている。イルカもルードスの文化があるのではというもの。

 もうひとつ、イルカは眠らない。その代わりに、聴覚的な白昼夢を見ているのではというもの。そのほか、音楽など精神レクリエーション(”ディアゴーグ ”)の自然発生的表現の中に宗教的な意味合いがあるとの説から、イルカにも音による宗教的意味合いを表現するものがいるのではというもの。

 ・第三部 ハングマンの帰還
 惑星探査手段として革新的な遠隔自律探査ロボット(テレファクター)、ハングマンが開発された。数百億以上もの超伝導性トンネル連結ニューリスター型電池を1立方フィートに詰め込んだ独自に決断を下せる冷却装置付き頭脳を持ち、さらに操作手の脳波をヘッドギアで増幅して遠隔で交信する機能も持つ。核融合装置で動き、自分で修理でき、人間の12倍程度の力を出せる。

 ところがハングマンは木星の衛星イオの探査後、エウロパで異常行動を取るようになり、カリスト探査を拒否、天王星ティタニアに上陸して観測データを送り始めたのち行方不明。それから20年後、メキシコ湾に着水し行方不明。その翌日、ハングマンをプログラム化した4人の創始操作手の一人が撲殺された・・・。

2冊部内留保

震源 真保裕一

講談社文庫 1996年

 「ホワイトアウト」が大ヒットした真保裕一の作品。気象研究所地震火山部の主任研究官が主人公の長編サスペンス。地震津波監視システム(ETOS)、地震活動等総合監視システム(EPOS)、ハイドロ・チャートを装備する海上保安庁水路部の測量船<海洋>、海洋科学技術センターの<なつしま>と<ドルフィン3K>が登場する。

(横浜研開架)

2016年1月2日土曜日

グランド・バンクスの幻影 アーサー C. クラーク

ハヤカワ文庫 1990年

 <タイタニック号>をペルティエ冷却効果、ガラス球、電気分解などのアイデアを用いて引き揚げる試み。「レイズ・ザ・タイタニック」で400気圧もの海底に圧縮空気を送ることが現実的でないことを指摘している。同じく同映画で使われた?ヒドラジンはブルーピース(グリーンピースのもじり)の反対でとん挫したのが面白い。

 引き揚げ作業に従事する<グローマー・エクスプロラー号>がハワイ沖5000mの海底に沈没した核搭載ロシア潜水艦を引き揚げたエピソード、沈没したアルヴィンが数年後に引き揚げられた際、乗員の昼食が酸素含有量が少ないためほとんど有機的分解されずに残っていたエピソードが登場する。

 米海軍3人乗り深海潜水艇<マーヴィン号>(内燃機関で水深4000mまで1時間で到達。アルヴィン号の後継艇)、人工知能海中ロボット<ジェースン・ジュニア>(国際海底機構に所属し、船隊を組んで海底を1mの精度で調査)、一人乗り<ディープジープ>、海底に電力を供給する退役原潜<マシュー・フォンテーン・モーリー号>及び<ピョートル大帝号>とその暖水による湧昇効果、北極海の氷冠の下の海底光ファイバー・ケーブル、深海観光潜水船<ピカール号>などの海中技術が登場。

 ニューファンドランドの水深100mにある海底石油生産マニュホールドがさしわたし100mの大タコ<オスカー>に破壊される。海底地震と深海の乱泥流(タービダイト)、海底下の炭化水素の貯蔵庫とその噴出と爆発という問題も登場する。