2016年4月28日木曜日

インナースペース 高川真一

東海大学出版会 2007

 無人機と潜水船についての技術バリバリの本、「ロボット工学便覧」みたいな本かと思ったら、地球の大きさを基本的な数学で実感させるなど、高校で習ったことのある知識でなんとか理解できるようにしたり、ところどころに親しみやすい与太話を交えるなど、読みやすくする工夫と努力の跡が感じられた。

 それと、この本を読むと、高川氏はエンジニアというより理科の先生という感じですね。身の回りに隠れている「不思議」を見つけ出し、それを納得のいくまで考え抜いて、納得のいく答えが見付かったときの爽快感が忘れられなくなり、それが中毒となってまた「不思議」探しをする、と前書きに書いてある。

 深海にどんな不思議があるのかを紹介する部分では、高川氏自身が地球内部になぜマグマ溜まりができるのかなど疑問を持ち、そのようないくつもの「不思議」を解き明かすために無人機や潜水船や掘削船を開発するという高川氏の基本姿勢に感心した。

 個人的には、無人機のケーブルが捩れていくメカニズムの話、水中音響学の体系的な紹介、深海掘削のこれから開発されようとしている技術などが読めて大変うれしかったが、そのほかにも私が耳学問で知っていた技術の経緯や意味を体系的に説明してあり、なんども「ヘー」を発しながら読ませてもらった。

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