2016年5月1日日曜日

アフロディーテ 山田正紀

1987、講談社文庫、「人工海上都市アフロディーテ」2001初演

 2003年、海上都市”アフロディーテ”が完成する。人口20万人、やや裾の広がったサザエのような形をしている。前面を紫色の珊瑚礁、巧妙にカモフラージュされた防波ダンパー-幅50mのいかだ状構造物を連ねた消波装置-で囲まれている。

 海抜300mの人口の山”彼女の頭(ハーヘッド)”がある。東側が”彼女の足(ハーレッグ)”地区で、個人用のボートハーバーとして利用されている。湾の向こう側、西側の”彼女の尻(ハーヒップ)”は雑然としていて他民族地区となっている。回教徒寺院(モスク)、笑猫亭(ラーフ・キャット)がある。中央の”彼女のあそこ(ハーイットゥ)”地区はアフロディーテの中枢部であり、国連ビル、コントロール・タワー、インフォメーション・タワー、各種の海洋研究施設、美術館、豪華ホテル、ショッピング・センター、海中レストラン、ケストス広場が集中している。

 三つの地区を結ぶ手段として、深度10mの海中を結ぶプラスチック・チューブの”海洋プロムナード”、電子カーが走る”電子コントロール・ハイウェイ”がある。

 小型潜水船<ローズ・バッド>(水中ロケット推進、2人乗り、水中速力20~25ノット)、海底ロボット<モボット>(浚渫用)、海洋計測ロボット<OSPER>(パターン認識機能がある)、超高速水中翼船(スーパー・ハイドロフォイル)が登場する。「海洋工学入門」(合田周平)が参考にされている。

 「国際連合が提唱し建設された理想の人工海上都市に夢を求めて移住した少年がいた。アフロディーテは順調に発展を続け、主人公は自分の居場所を見つけ、友人にも恵まれ、とてつもなく楽しい時期を過ごす。
 繁栄の陰に少しづつ、ほころびはじめた半独立国家アフロディーテ。時代が変わり、アフロディーテが存在価値を失い、大国の援助なしでは存続できなくなっていった。そのアフロディーテに更なる未来を与えた主人公の物語。
 若さとは、幻?。理想の社会って、何?。自分の居場所って何処?。
 これは、SFの姿をかりたヒューマンドラマです。」

=>感想(SAKATAMさんの黄金の羊毛亭より)
=>人工海上都市アフロディーテ

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