2016年5月1日日曜日

ゼリーフィッシュ・ガーデン 上田早夕里

「小松左京マガジン」第8巻

 第三回小松左京賞の最終選考候補作(「桓崎由梨」。選評は「小松左京マガジン・第8巻」に掲載)。浮遊型海洋実験都市《ブルー・モジュール》で働く研究者とスタッフの仕事を、専門書ではなく、一般向けの科学雑誌の記事を書いて生活しているサイエンス・ライターが取材するという話。

 《ブルー・モジュール》は、海洋関係の学術調査と、各種の海洋開発・海洋実験を行う実験都市で、研究都市としての側面と、海洋資源開発の経済的発展を促進するという、ふたつの貌を持っている。出資の大半は一般企業に頼っているが、学術方面からの支持と要請があるため、この両側面を成立させるべく、運営に関しては、微妙なバランスが保たれている。

 この実験都市上で働く深海生物研究班の中に、深海のクラゲを研究しているスタッフがおり、彼らが研究している新種のクラゲが、ストーリー展開上の軸となる。深海探査の機器としては、「しんかい6500」をモデルに著者が創作した、有人潜水調査船「かいりゅう」が登場する。その他、深海で調査船のアシスタントとして働く人工知能搭載の無人探査機、レスキュー・ロボット、なども出てくるが、このあたりも、JAMSTECで使われている実在の機器をモデルに、著者が創作している。

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