2016年1月1日金曜日

極冠作戦 小松左京

徳間文庫「本邦東西朝縁起覚書」に収録 1973年

 月は人口30万人で自給自足している時代。地球では大気中二酸化炭素の増加等によって平均気温が7度近く上昇、平均湿度は20%も上昇。「地球の金星化現象(ヴィナサイゼーション)」によって150~200mもの海面上昇に見舞われる。21世紀半ばに140億人を超えた地球人口は七十数億人に。トウキョウ、オオサカ、ニューヨークなど世界に28ある海上都市。トウキョウ市は人口120万人、6千万トン、核融合型原子炉で約15ノットで航行可能。十勝に新日本市が建設中。地球の高温多湿化は環境の変化だけでなく人類の知的活動の低下をももたらしていた。

 極冠計画とは、使用停止されているのべ数万キロの原油輸送管を中緯度から南北両極まで巡らし、中緯度帯の空気を大量に吸い込んで炭酸ガスを分離し、高圧縮のうえ極地で放出してドライアイス化させる。洪積平野を快復して陸上植物の自然繁殖可能面積を増大させることによってさらに大気組成を変化させる。

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