2016年1月1日金曜日

復活の日 小松左京

ハヤカワ文庫SF 1974年

 196X年、-10度Cで増殖を開始、-3度Cで増殖率が100倍に、5度Cになると猛烈な毒性を持ち始めるという<MM-88>ウイルスが密かに持ち出され、それを積んだ小型機が嵐で墜落する。やがて猛烈な感染力のインフルエンザ「チベットかぜ」、神経性の心臓麻痺「ポックリ病」が人々を襲い、「ニューカッスル病」が鶏を襲う・・・。

 南極に生き残った1万人の人類に残された原潜として<ネーレイド号>(6000トン、二重反転プロペラ)と<T-232>が登場する。ウイルスという不思議な存在と、地球上での生物進化の過程が非常に詳しく書かれていて、小松左京の凄さに驚かされる。

 実話として、原子力船「むつ」は当初原子力砕氷観測船として計画されていたが、1967年に特殊貨物船に仕様変更されている。本書ではなんと当初計画のまま原子力砕氷船「知床」として南極観測に就役している設定でビックリ。5トンコンテナを運べるサムソンヘリ3機、ブリストル型大型ヘリ2機を搭載、巡航速力28ノット、砕氷能力8m以上(蒸気砲と動力砕氷器を併用)。

(横浜研開架)

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