2016年4月28日木曜日

地球外生命 大島泰郎

講談社現代新書1999年

 なかなか面白い。化学が苦手な者でもなるほどと思うことがいくつも。ひとつは、地球外生命であっても地球型生命に近いと思われる点。

・宇宙空間に豊富にあるシアン、アルデヒド、アミノ酸などを生体材料として使うであろう。

・高等生物は多細胞でなければならず、そのためには細胞内も分化していなければならず、従って真核生物でなければならない。

・知的生物は陸上で酸素を吸うだろう、など・・・。

 一方、地球型生命が必ずしも合理的な設計になっているわけではないという話が面白い。
・遺伝子を構成する核酸塩基は、Aアデシン、Tグアニン、Cシトシン、Tチミンの4文字である必要はなく、AアデシンとIイノシンの2文字でもいい

・全ての生物の生体内でのエネルギーの運び手はATP:アデノシン・トリリン酸であるが、リンは海中でもあまり多くない。なぜ硫酸が使われなかったのだろうか。

・可視光(400~800nm)のうち太陽のエネルギー最大値が550nmなのに対し、植物(700nm付近を利用)も光合成細菌(400nm付近を利用)も効率のよい波長を利用していない。(550nmを利用するたんぱく質バクテリオロドプシンを持つ高度好塩菌が発見されている)。

・植物の光合成ではリブロースビスリン酸カルボキシラーゼという酵素にのみ依存しているが、この酵素は能率の悪い触媒である。

・地球上では左手型アミノ酸と右手型核酸の糖からなっているが、なぜ逆ではないのかなど・・・。
 そのほか、知らなかったのですが

・ユーリー・ミラーの実験では原始大気が還元型(メタン、アンモニア、水蒸気、水素ガス)である想定していたが、その後の研究では酸化型大気(二酸化炭素、一酸化炭素、窒素ガス、水蒸気)であると考えられるようになり、その酸化型大気では生体材料はできにくい

・水の中では重合(脱水反応/脱水縮合反応)しにくい。むしろ加水分解しやすい、など。

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