2015年12月9日水曜日

インド洋のビーチャジ号 イ・クレプス

原著1963年、東海大学出版1978

 ソ連の科学アカデミー海洋研究所に所属する海洋調査船「ビーチャジ号」の航海記。
 翻訳者の押手北海道教育大学教授の解説によると、本書はビーチャジ号1959-60年の航海記。ビーチャジ号は1949年に研究航海を開始。5,546トン、速力14.5ノット、50~60人の科学者を乗せ、12の研究室があり、客船並みの居住設備という。
 12,000mのテーパード・ケーブル、大口径の柱状採泥器、高性能測深器、深海用錨、34mの長い柱状試料の回収実績もある。マリアナ海溝でビーチャジ海淵11034mを測定した。600mのストリーマケーブルによる反射法探査、オッタートロール、深海用リングトロール、各層トロール(イザックス・キッド・トロール)、シグスビー・トロール、プランクトンネット、ドレッジ、アンカー・ブイ(自記流速計BPB)、GEK-EMIT、200リットル大型採水器による放射性ストランチウム測定
1977年にアルヴィンが発見して新しい門かと騒がれたチューブワーム(ハオリムシ)が属するPogonofora(ポゴノフォラ)をドレッジでたくさん採取された時のことが紹介されている。ポゴノフォラ(有鬚動物)は最初に発見された頃は多毛類の一種と考えられていたが、その後、口も肛門も、消化管一切が存在せず、多毛類とはまったく異なることから、動物界のすぐ下の独立門とされた。この有鬚動物はヒゲムシ綱とハオリムシ綱からなる。現在は、分子遺伝学的に多毛類又は環形動物に含められている。
 アラビア海の酸素極小層600(密度躍層の下限に一致)~1000m、、硫化水素バクテリアが作る硫化水素が原因、モンスーン深層水の湧昇、魚を大量死させるべん毛藻Hornellia marina
植物プランクトンによる有機物の生産量の測定、酸素量の増加→C14

・ピノグラドフ:調査隊の指揮。科学アカデミー会員。プランクトン班長
・ボゴロフ教授:調査隊長/船長。プランクトンの専門家<br />アレクサンドル・ステパノビッチ・ソロビエフ:管理・財政面の責任者(交代)
・ヒトロフ:最年長
・ベリャーエフ:底生生物班長
・ニーナ・ピノグラドフ:底生生物班員。大洋底動物群を研究
・ラス:魚類班長<br />イワノフ教授:レニングラード出身の動物学者でクレプスの旧友
・デルガチェフ:トロール主任
・カシヤノビッチ・ヒスノフ(カシヤニッチ):魚類班員。元腕のいい機関士。魔法のように網を操る。
・グレボーフ:航海班、漁の名人
・ボローニナ:音響測深器を用いたプランクトン分布の研究
・ナターシャ・ボロニナ:女性研究者
・ベズルコフ教授:海洋地質班長、背が低くてずんぐり。経験豊かな若者
・ウジンツェフ:地質学者
・ボルドフスキー:地質学者、優れた水中の狩人
・ベローソフ:学術事務官、地質学者、どっしりした頑丈な体
・モキエフスカヤ:水質化学班長。小柄で太っていて活発
・イワノフ・フランツケビッチ:水文学班長。経験豊かで落ち着いた海洋学者。ビーチャジ号の貨物船からの改造に関与。船長の第一の補佐役?
・オフチンニコフ:水文学班員
・ヒトロフ:放射線化学班長、若くて有能な放射線科学者、詩の愛好家で批評家
・コトリャーロフ:若い放射線技術者
・イ・クレプス教授:著者。放射線化学班、レニングラード出身。よく知られた生理学者、生化学者
・オルロフ:放射線化学班、化学者、最近モスクワ大学を卒業。詩人でスポーツマンでチェスのチャンピオン
・コノバローフ:海洋機械班の技師
・イリーナ・スハノバ:女性研究者
・ザベルニン:優れた予報官、優秀な若者
・イゴーリ・ワシリェビッチ・セルゲエフ:ビーチャジ号を指揮(船長ではない?)
・エフゲニー・アンドロビッチ・アウラメコ:先任副長
・ルツコフスキー:機関長
・アンドリエフスキー:1等機関士
・コノバロフ:機関部員、水中銃の名手
・イサエフ:機械修理係、火夫長の一人
・レオノフ:無線航海士、電波航法装置の主任
・パウロビッチ:衣服係
・クズミニッチナ:最古参
・アスチョーフ:老錬な電気技師
・リスニャンスキー:老練な電気技師助手
・グジャ-ビン:医師、堂々とした体と愛想のいい笑顔
・ニキホロビッチ:船医
・レバインス:二等航海士、副当直、優れた水中の狩人
・マルコフ:水夫長、調査に重要な役割。先任副長の片腕

(横浜研開架)

0 件のコメント:

コメントを投稿