原著1975, 関邦博・堀真之訳、井上書房 1989
1973年、英国ヴィッカーズ・オーシャニクス社の潜水作業艇「パイセスIII号」が、南アイルランドの沖合いでの海底ケーブルの埋設作業を終えて浮上した直後、曳航ロープが絡んで後部耐圧殻のハッチが外れるという信じられないトラブルで、水深480メートルの海底に沈没。
8月29日1:19に潜航開始してから4日目の9月1日13:17に引き揚げられてハッチが開かれるまで、約48時間、生存可能時間が切れる直前に救助されるまでのエピソード。
「しんかい2000」が研究潜航を開始した1984年頃、パイセスIII号を救助した米海軍の無人機カーブIIIに、「しんかい2000」が浮上不能となった場合にも救助してもらうため、JAMSTECと科技庁でひととおりの準備が済んでいました。
ところがこのカーブIIIの空輸~船積み輸送の所要時間を積み上げると、ひとつトラブルが生じたらアウトという、ぎりぎりのタイミングでしか救助できないことから、その後ドルフィン3Kを開発して「なつしま」に同時搭載することとなりました。
その頃はまだこの原著が出版されていたことは知らず、25年目にしてこの有名な救出劇の詳細を読むことができました。
最終的にはカーブIIIに救助されたのですが、その前に北海で稼働中のパイセスII号が現場に急行し、またカナダのHYCO社が所有するパイセスV号がカナダのハリファックスから空輸され、そしてカーブIIIがサンディエゴから空輸されています。
最初にパイセスII号が現場に向かうが索の取り付けに失敗したうえマニピュレータが損傷。パイセスV号は沈没艇体の発見にかなり苦労し、やはり索の取り付けに失敗。再挑戦するパイセスII号は着水直後に浸水警報で揚収して修理。そして修理後のパイセスII号が一本目の索の取り付けに成功し、次にカーブIIIが2本目の索の取り付けに成功。
その間、支援ボートの船外機の故障、荒天、トロール漁船による救助活動の妨害!まであり。
二酸化炭素を吸着する水酸化リチウムが湿気で固化して吸着能力が落ちること、洋上との連絡や二酸化炭素の吸着と酸素の放出のために乗員が定期的に起きなければならないこと、密閉された耐圧殻内での尿と大便の処理の苦労も書かれています。
(横浜研・GODAC開架)
JAMSTEC共済会サークル「SF倶楽部」が収集した地球・海洋SFを収録。これは書評ではなく、創作作品に登場する地球・海洋・生命科学ネタを紹介するものです。旧「地球・海洋SF文庫」よりこのBloggerに再登録完了。
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・出典:少年少女海洋冒険物語(Sayalautさん)
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・バーチャル博物館
Contents
乗物:"潜水船", "潜水艦", "スーパー・サブマリン", "ロボット", "ダイビング", "モビルスーツ", "水上船舶", "調査船", "掘削船", "砕氷船"
行動:"救難", "サルベージ", "海洋調査"
都市と基地:"都市", "基地", "古代文明":
歴史:"地球史", "氷期", "考古学", "進化", "古代文明"
生物:"海棲ほ乳類", "モンスター", "頭足類", "軟骨魚類", "生態系", "進化", "海洋牧場", "水棲人", "微生物", "遺伝子", "パンデミック"
資源・エネルギー:"海底資源", "エネルギー", "ハイドレート", "海洋牧場"
気候・環境:"気象・気候", "海面上昇", "大異変", "極域", "環境汚染", "衝突"
固体地球:"地震・火山", "噴火", "津波", "熱水噴出", "地球内部", "マントル"
分類ラベルの付け方(必ずお読みください)
行動:"救難", "サルベージ", "海洋調査"
都市と基地:"都市", "基地", "古代文明":
歴史:"地球史", "氷期", "考古学", "進化", "古代文明"
生物:"海棲ほ乳類", "モンスター", "頭足類", "軟骨魚類", "生態系", "進化", "海洋牧場", "水棲人", "微生物", "遺伝子", "パンデミック"
資源・エネルギー:"海底資源", "エネルギー", "ハイドレート", "海洋牧場"
気候・環境:"気象・気候", "海面上昇", "大異変", "極域", "環境汚染", "衝突"
固体地球:"地震・火山", "噴火", "津波", "熱水噴出", "地球内部", "マントル"
分類ラベルの付け方(必ずお読みください)
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