2015年12月2日水曜日

ハローサマー、グッドバイ/パラークシの記憶 マイクル・コーニイ

「ハローサマー、グッドバイ」 サンリオSF文庫1980、河出文庫2008

 極寒の惑星に住むヒューマノイド型異星人たちの物語(寒さにために狂ったり、夏の太陽に照らされていると突然変異が起きやすくそれを恩寵と思うなど人間とは違うところもあり)。少年ドローブが、両親と休暇を過ごすためにやって来た土地は、役人である父の仕事絡みのものだった。少年はそこで、ブラウンアイズという少女と出会い、恋におちる。

 小型船で海に出発した少年らは、恐ろしいアイス・デビル(青い腕を広げて餌食を水中に引きずり込み結晶化する)やグルーム・ライダー、絹の毛皮をもつローリンに遭遇する。そんな冒険とは裏腹に、この惑星では巨大な陰謀が進行していた。それは、この惑星と巨大惑星そして太陽を含む系と関連しあっていた。

 この作品を読んだ印象は海洋SFではなく、訳者の感想と同様にサリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」でした。ただ、読後の虚無感が、大きな自然の営みに起因していたので、本ジャンルに加えています。(by sayalautさん+西村手直し)

 舞台となる惑星は太陽ヒューの周りを公転周期160日の長楕円軌道で周回する。もうひとつの惑星ラックスの冷たい明かりにも照らされていて、このラックスとヒューの軌道の関係は定かでない。

 惑星は一つの大陸と、両極の広大な海(北大海と南大海)と両極を結ぶ長くて狭い中央海がある。惑星の地軸は楕円軌道の長軸方向を向いていて、夏には大南海が太陽に熱せられて蒸発し、大北海から大南海へと粘流(グルーム)が流れる。

 太陽ヒューが照る夏には突然変異を恩寵と考える。冬は寒さが狂気をもたらす。
大中央山脈の東側のアスタと西側のエルトが対立している。

首都アリカ、港町パラークシ、ホーロックス(内陸)、イバナ、ドレバ
ドライヴェット:愛玩動物
ロリン:なんらかの知性を持つ無害で人なつっこい動物
ロックス:四足獣の家畜
有知覚植物
ハリコビ草:鮮緑色の動く環状蔓がある。
アオサヤ豆
ネボソ木
トゲノ木
フユノ実:ジャムになる。
キイロノ実:甘い果実
イソギンチャク樹
ヒトクイ樹(イソギンチャク樹の一種。もともと海の生き物。氷魔の遠縁)
サトウ草
氷小魔(アイスデビル)
グルームワタリ鳥
ニュース鳩
ユキシロモグリ鳥
ナガレウオ
ツバサウオ:巨大
ヒトクイウオ
グルームライダー(哺乳類)
ゲテモノグライ(腐肉喰らいの一種)

(横浜研開架)
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「パラークシの記憶」 原著2007、河出文庫、2013.10.10

 舞台となる惑星は、太陽フュー(大ロックス)と死せる太陽ラックスとの連星系に存在し、通常はフューの周りを周回している。
 その惑星にはスティルクという地球人類によく似たヒューマノイドが文明を築いている。スティルクは自分と同じ性の祖先の記憶を保持し、「星夢」を見てその記憶を掘り起こしたり、逆流フラッシュバックといって突然記憶がよみがえったりする。

 スティルクの男と女は一度性交渉すると、交際をやめてしまうのが通常であり、男女は夫婦・親子といえども別の集落で暮らしている。

 スティルク社会は、男が狩りをし女が作物を育てるヤムの内陸者「根掘り虫」と、男が魚を捕まえ、女がそれを加工するノスの海辺者「水掻き持ち」に分かれており、両者は身体形状が異なると信じられているが真実は不明。両者の混血は忌まわしいこととされている。

 よやく本題に入ると、この物語は根掘り虫のヤム・ハーディ17歳が、水掻き持ちで茶色い目のノス・チャーム16歳と出会う"A boy meets a girl" part 2である。なぜpart.2かというと、この「茶色い目」の少女は、前作「ハローサマー、グッドバイ」で到来した大凍結の時代にこの世界を救った伝説の少女ブラウンアイズの目の色と同じだ。また少年ハーディは、前作の主人公ドローブとブラウンアイズの末裔なのである。

 パラークシは前作の舞台となった大昔の聖なる港町の名前。

・粘流グルーム:毎年、大浅海から密度・粘度の高い海水が運ばれる現象。
・海洋生物:獰猛な海生捕食動物グルームライダー、ハバタキウオ、水棲哺乳類のズーム、ナガレウオ
・植生:ウミススリノ木、青白いイソギンチャク樹、燃料向きのコップ樹、トガリ木(キイロノ実が成る)、ミズフキノ木、フユノ実、ムシロ草、ニュート森、ハジケ草、好奇心を持つヒゲ草、ハビコリ草、シバリ草、ハイノボリ草
・鳥類:グルームワタリ鳥、クチマネ鳥、うなり蝿
・陸上動物:四足獣ロックス、スノーター、ドライヴェット、足が速いロークス、ヒューマノイド型のロリン
・池を結晶化する氷魔

(所在不明)

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