2015年12月4日金曜日

短編集「魚舟・獣舟」 上田早夕里

光文社文庫 2009年

 異形コレクション収録作品と書き下ろしほか一作を加えた短編集。
「魚舟・獣舟」:陸地の大半が水没した世界に適応するため,ヒトの遺伝子の98%を占めるトランスポゾンやノンコーディングRNAの領域を使って「魚舟」が創りだされる。ヒト型とともに双子として生まれた魚型は、成長すると全長30mを超える巨大な「魚舟」となり,海上民はその背中の居住殻と上甲板で暮らす。〈操舵者〉を持てなかった魚舟は,魚とワニが混じりあったような体長17m近い「獣舟」に変異し,陸の資源を食い荒らすようになる。「獣舟」にさらなる変化が・・・。
「ブルーグラス」:ダイビング・スポットとして有名なO県M岬沖の礁湖の環境が悪化し、保護区域に指定して海洋ドームが建設されることとなった。外部の物音に応じて化学反応を利用して成長するインテリア・オブジェ「ブルーグラス」。主人公はかつて自分が礁湖に沈めたブルーグラスを見にM岬を訪れる・・・。
「小鳥の墓」:「火星ダークバラード」の前日譚。

(横浜研開架)

0 件のコメント:

コメントを投稿