2016年1月2日土曜日

レディ*スクウォッター3-雷雲のライフライン 都築由浩

電撃文庫 2003年

 ザイマカ星系でサルベージ業を営むランダル軌道運輸の社長ゴードン・ランダル、新米社員のアルヴィン・アラン・アーチボルト(アル、AAA)、少女デリヴァランス・オーウェン(ディー)の3人が活躍するシリーズ第3弾。

 同星系で唯一未踏査のガス巨星<<ザイマカ6>>、別名<<呪われた惑星>>。半径15,000km、公転周期12年、惑星自体の自転は公転面から10度程度しか傾いていないのに対し、地磁気が公転面に対して約80度も傾いている。つまり惑星の核と表面のガスが別々に回転している。

 その大気は、惑星表面を4,000kmの厚さで覆っている水素とヘリウム主体の<<上層大気>>、その下に液体の水からなる厚い雲、さらにその下に二酸化炭素主体の<<下層大気>>からなる。<<雲>>とほぼ同じ高さに電離層があり、レーザーや電波による探査・通信を阻んでいる。このため上層大気を飛行する親機からテザーケーブルで繋いだ子機を下層大気に降下させることによってしか通信が確立できない。

 この惑星に高名な惑星探検家と生物学者が<<ディアブロ・クリス号>>で挑むが、下層大気に入った途端になぜかケーブルが切断、消息不明となる。2人を救助するよう依頼を受けたランダル軌道運輸は、長距離宇宙船<シーオッター>で<ガス・ジャイアント・ダイバー>(有人G.G.D)であるガス巨星調査船<<ガシッド>>を運ぶ。<<ガシッド>>は上層大気を飛行する親機<<キャリアー>>と下層大気に下降する2機の有人子機<<ダイバー1>>、<<ダイバー2>>からなる。親機と子機の間は、ネオケブラー主体で編まれたチューブの中に数十本の光ファイバーが走る全長6km、外径15cmのケーブルで繋がれている。

 下層大気に飛び込んだ子機のうち<<ダイバー2>>までがケーブルを切断される。ブースターで下層大気からの脱出を図ろうとした<<ダイバー2>>は雲の中に巨大な浮遊生物と、行方不明の<<ディアブロ・クリス号>>を発見する・・・。

(横浜研開架)

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