2016年1月25日月曜日

アキレス浮上せず 大石英司

角川ノベルズ/新書判 1995

海洋海中観測潜水船<アキレス>は、処女航海で副長ら反乱グループに乗っ取られる。彼らの目的は海底2000mに沈む、巡洋艦「石狩」に積 まれた200兆円の山下財宝の金塊。
2000mでの潜水作業が可能な、96式耐圧潜水スーツ(海上自衛隊と海洋科学センター(誤記ではない)が共同開発)で 金塊を奪取しようとするが・・・。

体長20mを越える鯨型の生物『ギガマウス』と、それを捕食する巨大生物(蛍光性の無数の触手を持つ野球場サイズの座布団状の蔓の化け物。普段は海底下に潜っている。触手は長いもので10m近くに達し、先端には吸盤状の口があって2枚の鋭い牙がある。)が登場する。

 <アキレス>は、6万トン、潜航深度800m。速度20ノット以上、3カ月の潜航調査が可能。
オハイオ級原潜3隻(左舷:ジョージア、中央:ミシガン、右舷: ウェスト・バージニア)を束ねて外殻を追加したもの。外殻内には浮力材が詰められている。
両舷のソナーが残されているが、魚雷発射管は撤去されている。
セ ンターチューブは推進機関用だった区画に潜水調査用ハッチ、無人潜水艇のランチが収められている。サイド・スキャン・ソナー装備。

詳細
○右舷側(ウエスト・バージニア):前からソナー区画、主観測室(水槽、冷蔵庫、100気圧の加圧タンク)、士官区画(海上自衛隊)、原子炉区画、推進装置区画
○センターチューブ(ミシガン):観測機材吊り下げ作業用ハッチ(油漬け?)、発令所、キャビン、原子炉区画、潜水準備室(大気圧潜水服が6体)、無人潜水機用ランチ
○左舷側(ジョージア):ソナー区画、レディース・ルーム、主観測室(水槽、ラボ)、士官区画(海兵隊)、原子炉区画、推進装置区画

米ウッズホール海洋研究所と日本の海洋科学研究所(誤記ではない)の共同プロジェクト。
科学者50人。船員:米側100人、日本側50人。改造費 (2000億円以上)の70%を日本が負担という設定が非常にリアル。年間運用費200億円以上。科学目的のものとして実現可能性のある魅力的な案である。
観測が主目的の潜水艦が主役なのは<シービュー号>、「海底世界一周」の<ハイドロノ-ト>、<シークエスト>ぐらいであまり多くない。

本部内にも1冊あり(カバーなし)

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