2016年4月28日木曜日

希望ホヤ 石黒達昌

SFM_2002、2006短編集「冬至草」に収録

 作品中にも言及があるのですが、カリブ産のホヤから抗腫瘍成分が見つかっていて、海洋天然物初の抗ガン剤となる直前まで進んでいるようです。
http://jstore.jst.go.jp/cgi-bin/patent/advanced/detail.cgi?pat_id=16877

 7歳の娘が神経芽細胞腫であと一年と宣告される。医者から見離された弁護士の父親は娘が学校に行って勉強したいという姿を見て、自分も諦めずに勉強を始める。

 娘の願いで訪れたカンダ島「希望の浜」のレストランで目にとまった高価な料理「希望ホヤ」。ごつごつした醜いホヤを見て、腫瘍を抑制し共生する仕組みがあるのではと直感した父親は、レストランで出会った精神科医の助力も得て、希望ホヤの研究を始める・・・。

 医者でも科学者でもない者が新しい治療法を見つけ出せるかを問うた作品。父親は文献検索、細胞の染色と顕微鏡観察、細胞培養、さらに抗腫瘍物質の分泌部位を突き止めるところまではできた。しかしその抗腫瘍物質を分離・精製するところで壁にぶつかる。論文を発表して共同研究相手を見つける猶予のない父親の決意とは・・・。

2006短編集「冬至草」収録

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