2016年5月3日火曜日

モモ ミヒャエル・エンデ

原著1973、和訳1976、岩波少年文庫2005

 時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語。8つなのか12ぐらいなのか分からない少女が小さな円形劇場の廃墟に住み着く。その子は自分をモモと名づけている。近くの人たちが集まってきて相談し、廃墟の中に住む場所を作ってあげて、みんなで養っていくことにした。そのモモには不思議な才能があった。人の話を聞くことがとても上手だったのである・・・・。

〈その第三章「暴風雨ごっこと本物の夕立」より〉
 ファンタジー小説の、しかもごく一部なのですが,実に濃い海洋でSFな描写がありました。もしかすると、リストにあるものを見落としていたり、あるいは検討の上リストにあげられなかったものかもしれませんが、報告します。

 研究船「アルゴ号」は、南洋の「さまよえる大旋風」を調査し、安全を確保するために、特別にアラモント鋼の一枚板で作られた船である。

 乗組員は、勇気あるゴルドン船長、経験豊かなドン・メルー一等航海士、アイゼンシュタイン教授と,超記憶力を持った二人の助手マウリンとサラ。教授だけが理解するフーラ語を話す現地の娘モモザン。世界的にも名の通ったスポーツダイバーの女性三名(うち一人はザンドラ)。百人のカエル部隊を率いるフランコ隊長(通称イルカ)など。

 一行は、生物を異常成長させる海域で、直径20mものガラスの島、実は巨大なオバケクラゲ(ヒトクイオタフク・ビストロツィナリス、オオグライ・タペトツィフェラ又はオバケアシ・チューチューネンシスの一変種のいずれかは定かでなし)の危機を突破し、〈さまよえる大旋風〉に接近していく。

 落雷につぐ落雷! 荒れくるう風雨! 山なす大波と白くあわだつ水しぶき! アルゴ号は,エンジンというエンジンをフル回転させて、ついに到達した台風の目には,巨大な「シュム=シュム・グミラスティクム(通常は,トマトソースやみどり色のインクの中に見つかる微生物)」がいた。この巨大微生物が、台風を作り出していたのだ。

 一行は、苦難の末、巨大微生物を倒し、海に平安をもたらしたのだが、ただ一人教授だけは、この貴重な生物を失ったことを、残念に思うのだった。
 ・・・って、子どもたちが夕立の間に行ったゴッコ遊びなのですが、エンデ、ここまで作りこみますか!(by 細江ひろみさん)

登場人物

・モモ
・道路掃除夫ベッポ:なみはずれて小柄なおじいさん。モモの親友
・ジロラモ(ジジ):観光ガイドの若者。モモの親友
・ニコラ:左官屋。ピンとひねりあげた黒い口ひげのたくましい男
・年寄りの指物師。モモのイスとテーブルを作る。
・ニノ:居酒屋。くたびれた顔のやせっぽち。ふとっちょのおかみさんリリアーナ。モモに食べ物をくれる。
・フージー:床屋
・パオロ:めがねの男の子
・マリア:小さな妹デデを連れている。
・マッシーモ:声の甲高い、ふとっちょの男の子
・フランコ:いつもだらしないかっこの男の子
・クラウディオ:ラジオを持っている小さい男の子
・カシオペイア:謎のカメ
・マイスター・ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラ:〈さかさま小路〉の奥にある〈どこにもない家〉の住民

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