2016年5月3日火曜日

マラコット深海 アーサー・コナン・ドイル

1923年 漫画版:1978,桑田二郎,主婦の友社

 「シャーロック・ホームズ」シリーズのコナン・ドイルが「失われた世界」など4冊のSFを書いており,その一つ。

 マラコット博士らが海洋調査船<ストラッドフォード>から吊した鉄製の箱で大西洋の海底の噴火山の上、水深540mを探検中、巨大なザリガニ状生物マラックスにケーブルを切られ、8113mの海底に落下。8000年前に沈んだアトランティス大陸の末裔たちに出会う(水棲人ではなさそうだ)。

 アトランティス大陸の沖合いで海底火山が大噴火し、その巨大津波に襲われた後、大陸が徐々に海溝の方へ滑り落ちていったが、水密の避難所に逃れた数十人が生き延びたもの。ある深さ以上は圧力を打ち消す作用が働き、分厚く堆積した有機物の分解に伴う燐光で明るいという設定。

 ひどく妙な格好の「ブランケット・フィッシュ」、半有機体、半気体性で知性のある「プラクサ」、海なめくじ属で電波で相手を殺す「クリックスコック」、ピラニアのような「ハイドロプス黒小鱒」、長さ60m以上の海蛇、半エーカーほどの大きさの大ヒラメ、深海の竜巻などが登場。マリン・スノーなど深海底の描写が驚くほどリアル。海底で測深錘の落下を目撃する視点がおもしろい。

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