2016年5月1日日曜日

ウォータークラップ アイザック・アシモフ

1970年 『聖者の行進』に収録、創元SF文庫

 56ページの短編。おそらくアシモフ唯一の海洋SF(「ミクロの決死圏」も海洋SF的ですが)。
 月基地で20人もの死亡事故が発生。ルナ・シティの主任安全技術者であるスティーヴン・デマレストは、19年前に建設されて無事故記録を続けている海底植民地「オーシャン・ディ-プ」にバチスカーフで向かう・・・。

 「オーシャン・ディ-プ」はプエルト・リコ海溝の水深5マイル半(8850m)にあり、大型の耐圧球50基が立体的に接合されている。50人が居住。うち女性9人。バチスカーフは、2~4人乗り、動力:核燃料(RI電池か)、ウォータージェット推進。

 「ウォータークラップ」は「水雷」の意味。「オーシャン・ディープ」とバチスカーフがドッキングするエアロックがなんともぶっそうな代物で、ポータブル核融合装置の374度Cの蒸気で排水。水が満たされる時に水雷のような衝撃音が生じる。

 宇宙開発と海洋開発の資金の取り合い、バラストショット投棄による海洋環境への影響、クジラやダイオウイカと潜水船との関係、バラスト投棄の要らない原子力バチスカーフなど、短編ながらさまざまな話題がさりげなく盛り込まれている。

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