2016年5月3日火曜日

私家版魚類図譜 諸星大二郎

初出:別冊モーニング2004-06,講談社,KCDX MORNING,2007.3
第1尾「深海人魚姫」/第6尾「深海に戻る
 人魚姫の物語。男女とも上半身が人、下半身が魚だが、尾びれは垂直である。考えたら水平だと海棲哺乳類となり、鱗とは矛盾するので妥当な設定である。彼ら/彼女らはチューブワームが群生する熱水活動域に棲むが、中層にある酸素極小層に阻まれて、海面に向かうことができない。
 ところがある日、ある若い人魚が熱水活動域に潜航してきた潜水艇の搭乗研究者、海津亮を覗き窓ごしに見て、男が大きな魚に飲み込まれたと思う。そうではないことを仲間から教えられるが、それ以来、海上への憧れが募っていく。

 ついに海上に向けて旅立ち、酸素極小層をコウモリダコの助けでかろうじて乗り越え、あともう一息のところで魚の大群に取り囲まれて気を失う。そこに深海から浮上してきた潜水艇”まりん”が。その時、奇跡が起こる・・・・。
 後編は12年後,記憶をなくした少女が深海生物学者、深水士の養女”まりん”として育てられ、やがて米潜水船”ケルヴィン号”の女性パイロットに・・・。
 多くの深海生物が登場する。ジャイアント・チューブワーム(ハオリムシ)、ユメナマコ、ユノハナガニ、シンカイコシオリエビ、ゲンゲの仲間、カグラザメ(登場せず)、チョウチンアンコウ、ヌタウナギ、地獄の吸血イカ/コウモリダコ、ダイオウイカ、マッコウクジラ、ソコボウズ、イトヒキイワシ、クシクラゲ(絵)、カブトクラゲ(絵)、カノコケムシクラゲ(絵)、ヒゲクラゲの仲間?(絵)、オウムガイ(絵)、リュウグウノツカイ、ウミユリ、ミズダコ、ソコダラ
米ケルヴィン号(アルヴィン号型)、6千m級「まりん」/母船「かいぼん」
第2尾「鮫人
 涙が真珠になるという鮫人を皇帝陛下に献上するため
第3尾「魚が来た
 地底都市
第4尾「魚の学校
 口内保育するアジアアロワナ、カレイ、マグロ
第5尾「魚の夢を見る男
 アノマロカリス、アランダスピス、ユーステノプテロン、イクチオステガ
第7尾「ネタウナギ」 ヌタウナギ、チョウチンアンコウ、ナガヅエエソ(三脚魚)、オオグチボヤ、深海ギボシムシ

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