2016年5月4日水曜日

グロコス(Glaucos) たなか亜希夫

モーニング連載,講談社のモーニングKC,全4巻,2003-2005年完結

 映画「グランブルー」と同じく、素潜りで深さを競うフリー・ダイビングの漫画。海で遭難した母が沈む間際に水中で生まれ、イルカに運ばれてポリネシアの漁師に助けられた奇跡の子シセ。17年後、素潜りで80mの世界記録を持っていたフランス人の老人クロードは南の島を訪れ、そこでシセに出会う。

 シセの養父は核実験の被害者で白血病を患っている。潜水医学の女医ハルカ(本城永遠)は、シセの発達した脾臓に注目する。世界記録タイの90mでデビューしたシセはクロードに連れられて正受大師の水月堂での禅の修行を通じて新しい境地に至り、正受大師から「紫青」という名をもらう。

 クロードのかつての教え子、世界チャンピオン(スタティック9分11秒、コンスタント90m)のプティは世界最大のスポーツ・メーカー、エレボス社とプロ契約。シセに挑戦してくる。コンスタント115mに成功したプティは脳に障害を負う。

 ハルカは脾臓の「貯血」機能を解明する。シセの脾臓はブラッド・シフトによって収縮して赤血球を放出することで酸素不足を補うというもの。

 企業エレボス社は営利主義のもと、シセにノー・リミッツ(スレッドという錘の付いた装置で潜りバルーンで浮上する水深を競う)で200m(世界記録は171m)に挑戦するグロコス・プロジェクトを持ちかける。
 最終話では,水深200mの世界記録を目指すシセが、幻覚のなかに地球と生命の進化を見る。

 肺の容量を強制的に増やすパッキング/リバース・パッキング、腹の柔軟、顔のストレッチ、モノフィン、潜水反射(潜水徐脈,顔を水に付けると心拍数が低下する)、スタティック(水面に浮いて顔を付けて無呼吸時間を競う)、コンスタント(自力で潜水・浮上する水深を競う)などの用語が登場。

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