2016年5月3日火曜日

ワンの絨毯 グレッグ・イーガン

1998年 2005、ハヤカワ文庫SF『ディアスポラ』に収録

 グレッグ・イーガンの超難解SF『ディアスポラ』(2005、ハヤカワ文庫SF)の中の『ワンの絨毯』で海洋惑星の巨大浮遊生物が登場する。

 時代は2975年。人類は電脳世界ポリスに身を置き、ソフトウェア的にを生み出すことも可能となっているが、肉体を持つ肉体人も地球上にいる。

 2996年、わずか百光年先にある中性子星の連星トカゲ座G-1に異常が生じ、既存の理論では説明できない速度で連星の間の距離が縮まっていることが発見される。わずか4日後に強烈なガンマ線バーストが発せられ、地球上の肉体人が絶滅すると予測される。

 ポリス人の2人は地球に向かい肉体人にポリスへの移住を勧めるが誰も承知しない。ついにバーストが発生。悲惨な状態の中で十数名の肉体人を移入ナノウェアで分子メモリに読み込む。

 3000年、63隻の恒星間宇宙船が21の星系に向かって出発する。
 3865年、人工ワームホール〈長炉〉の実験に失敗。4082年、〈距離問題〉が解決。
 4000年、千のクローンが作られ、千の目的地に向って宇宙船が旅立つ。
 4309年、ヴェガの海洋惑星オルフェウスの海には<ワンの絨毯>と呼ばれる浮遊生物が存在していた。それは単細胞生物のコロニーではなく1個の超巨大分子、重さ2万5千トンの二次元ポリマー。二十世紀の数学者、ハオ・ワンが考えたワンのタイルだった・・・。

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