2016年5月3日火曜日

腐海 ジェームズ・ポーリック

徳間書房 2001年

 殺人プランクトン,渦鞭毛虫の新種『フィステリア・ジャンカージ』を題材にしたSF。海洋調査船<エクセター号>、曳航式海中環境観測システム「メドゥーサ」、「ベティー」、セラミック製の潜水艇<シプリド号>と<ゾエア号>が登場する。
 JGOFS(Joint Global Ocean Flux Study,全球海洋物質収支国際共同計画)とその東部亜寒帯域の定点観測海域Papaと、ATOC(The Acoustic Thermometry of Ocean Climate、海洋気候音響温度測定学)プロジェクトの名が出てくるSFは初めてのもの。"Ocean Flux"を「海洋物質収支」ではなく「海洋潮流」と誤訳しているが、無理からぬところがある。

 ニセササノハケイソウなどの有毒珪藻類が作るドーモイ酸(神経を撹乱させる強力な酸)、フィステリア・ピッシータ、フィステリア・ピッシモーチュア、魚を麻痺させるヘテロシグマ、えらの組織をずたずたにするツノケイソウ、ディクチオカ、食中毒を起こすビブリオ菌、麻痺性の貝毒を作るアレクサンドリウムなど、恐ろしいものが紹介されている。

米国東海岸で発見された淡水にすむ単細胞生物フィエステリア・ピシシーダ(Pfiesteria piscicida)は,有毒な渦鞭毛藻類)>米サイト
Acoustic Thermometry of Ocean Climate

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