2016年5月3日火曜日

タイムスケープ グレゴリー・ベンフォード

1980年 ハヤカワ文庫SF

 ネビュラ賞受賞。1998年、環境汚染とエネルギー危機が進行する地球。アマゾン流域で殺虫剤に使われた塩素化炭化水素「マノドリン」が珪藻の変異種を生じさせ、大西洋ブラジル沖合に100km以上に広がる大規模な赤潮(ブルーム)が発生、爆発的な勢いで増殖を続ける。それらは、海中の酸素を食い尽くすだけでなく、塩素化ベンゼン、ポリ塩化ビフェニルなどの極めて毒性の強い副生成物を作り出し、さらには他の生物の外被を剥がしてその分子を変化させるニューロジャケット効果(ウイルス・インプリンティング)によって、海洋生物を死滅させていく。

 ついには、海上に異様に黄色い雲を作り出し、航空機の乗員・乗客や陸上の農産物にも被害を与え始める。科学者たちはタキオンを使って1962年に警告を送ろうとする・・・。

 2度訪れたことのあるスクリプス海洋研究所の近くのラホイヤの町の雰囲気が懐かしい。このほか、直径500m、全長345mのタービン400基をマイアミ沖の海面下25m、4ノットの海流中に設置して40ギガワットの電力を供給する「コリオリ計画」構想が登場する。

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