2016年5月2日月曜日

水妖の森 廣嶋玲子

2006.4 岩崎書店

 第4回ジュニア冒険小説大賞を受賞。
 オボロ森(妖魔の森)の《青の湖》に棲む水妖の少女ナナイは、大人に脱皮(文字通り)するための儀式として、不得手な陸上を通って光り輝く《銀色の湖》に向かわなければならないところ、人間に捕まってしまう。

 この森には、《黒の湖》に棲む《暗き湖の主》、ばかでかい化け物魚ウラーが、唯一の糧である水妖を年に一度の機会に捕らえるため、《黒の湖》の島民を送り出していたのだった。

 ウラーはある時汚染されてしまった《黒の湖》の唯一の生き残りで、水妖を食べた時だけ産卵し、それが孵った自分の子供をも食料としていた。ウラーは水妖を狩らせるため、卑怯にも島民の子供たちを人質にしていたのだ。

 普段はハザマ川をへだてたカワタキ森で暮らす主人公の少年タキは、《卵を狩る者》レンバーターだ。レンバル鳥は”真紅の王”とも呼ばれる凶暴な鳥で、その卵の殻は貴重な薬として高く売れるのだ。タキはめったに入らないオボロ森で捕らえられていたナナイを救い、《銀色の湖》に向かうが・・・・。

 水妖、ウラー、レンバル鳥の生態がそれぞれ興味深く描かれている、貴重な子供向け作品。

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